ここのチャーハンの作り方には、中華の料理人でも驚くような秘密があります。
玉子とご飯、蒲鉾、ねぎをラードで炒め、塩、胡椒、醤油、うま味調味料で味つけするのですが、もう1つ調味料が加わります。
「黒毛和牛のペースト」。誰も聞いたことがないものだと思います。
黒毛和牛のミンチと玉ねぎ、キャベツ、ニラなど、10種類の野菜をペースト状にしたものです。
しかも、完成までに3日間掛かります。
これを使うことで、どこでも味わったことのない、唯一無二のチャーハンができあがるのです。
こうした手間が掛かるので、1050円という、ちょっと高めな値段になっているのです。
それを知らない人には、チャーハンの1000円超えは高いと感じるかもしれません。
しかし、味を知って、美味しさに納得した人は、高いとは思わないのです。
強気で勝負した結果、大繁盛店となったのです。
ただし、成功の要因はチャーハンの味だけではありません。
緻密な戦術を仕掛けていたのです。
「チャーハンの味変」と「旨み凝縮の鶏スープ」です。
お店にテーブルには、塩、胡椒、自家製酢醤油、特製ラー油が置かれ、食べている途中の“味変”をお奨めしています。
メニューの裏に、“食べ方指南”として書かれています。
まずは、鶏スープを飲んでくださいと。
このスープは、福岡産の鶏がらを2日間煮込んで、3種の塩で味つけし、すりごま、ねぎを入れています。
次に、チャーハンをそのまま半分ほど食べたら、残り半分に自家製酢醤油を掛けて食べます。
さらに、好みで特製ラー油を掛けて食べるのです。
ほとんどのお客さまが、指南通りの食べ方をして、大満足で帰って行きます。
たった1種類のチャーハンですが、黒毛和牛のペーストで独自の味わいを出し、味変をお奨めすることで、飽きさせない工夫もしています。
1品で勝負するには、大きな自信だけではなく、きめ細かな戦術も重要なのです。
このお店は、それを見事成し遂げています。
「チャーハン王」。その名に恥じぬよう、今後の発展を期待します。
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