石破総理が急速に「ウソつき」になった理由
岸田、菅両氏に気を遣わねばならなくなった石破新首相は早くも壁にぶち当たった。総裁選では「国民に判断の材料を提供するのが新首相の責任だ」と予算委を経てから衆院を解散する意向を示していたのだが、一転して方針を変更した。
森山裕氏に幹事長への就任を要請したさい、森山氏から「衆院選をできるだけ急ぎ、総裁選の盛り上がりを活用してほしい」と進言され、その後、説得に応じたといわれている。
多くの候補者が勢ぞろいして総裁選を彩り、国民の関心を引きつける。その盛り上がりが冷めないうち、すなわち国民の目がくらんでいるうちに解散・総選挙を行って、勝利につなげる。それが、党内世論を汲んで岸田氏と森山氏が打ち合わせた「総裁選ショー」のシナリオだった。その完結のためにも、森山氏は10月中の総選挙を強く説いたのであろう。
石破氏は、9月30日、まだ首相になっていないにもかかわらず、「10月27日に総選挙を行いたい」と表明した。臨時国会(10月1日召集)の会期末は9日とし、その日に衆院を解散するという日程も、森山幹事長の主導で決められた。27日に投開票を行うには全国の選管の準備の都合上、一刻も早く日程を発表する必要があったというが、なんとも奇妙な話だ。
さて、悲願をかなえた石破首相にとって、最大の難問は挙党体制の構築だ。総裁選の決選投票で194票を獲得した高市早苗氏に総務会長就任を打診したが、あえなく断られた。幹事長だったら受けるつもりだったと高市陣営の誰かが言っていたというが、そんなオファーが来るわけもなく、眉唾物の話といっていい。
“安倍政治”の継承者として高市氏を支持する岩盤保守層が、石破政権に高市氏が組み込まれることを望まないからではないだろうか。党内基盤が弱い高市氏が政治活動を進めるうえで、岩盤保守層の強力な支援は絶対に欠かすことのできない条件である。









