麻生氏にマイナスに働いた、産経新聞の独自スクープ
「絶対に石破だけは許せない」と常々から石破氏を毛嫌いする麻生氏は、派内に河野太郎氏という候補者を抱えながら、決選投票に残りうる候補者として高市氏を選び、支援することを決めた。
産経新聞は9月26日深夜に以下のスクープ記事をウェブサイトに掲載した。
自民党の麻生太郎副総裁が、総裁選で高市早苗経済安全保障担当相を支持する意向を固め、岸田文雄首相らに伝えたことが分かった。(中略)麻生派は河野氏や上川陽子外相らに推薦人を出していたが、麻生氏は1回目の投票から高市氏を支援するよう同派議員に指示を出した。
この効果はもろに出た。河野氏の議員票は22にとどまり、高市氏は72票の議員票を集めた。予想より30票ほど多かった分が、麻生派から流れたものと思われる。高市氏は得票数トップに躍り出た。
麻生氏は安堵した。もし、決選投票に残る上位二人が石破氏と小泉氏になった場合、麻生氏は乗る“船”を見失ってしまう。高市氏なら、安倍元首相と同盟関係を続けたのと同じ感覚で支援することが可能と踏んだのであろう。
ところが、この産経の記事が麻生氏にとってはマイナスに働いた。麻生氏の号令を知った菅義偉元首相が、応援する小泉陣営の引き締めをはかるとともに、決選が高市、石破両氏の間で争われるケースにそなえて、石破氏との連携話をきっちり進めたからだ。
その結果、決選投票で石破氏には小泉、林、上川陣営の議員票がごっそり加わることになり、議員票数は1回目投票の46から189へとハネ上がった。勝ち馬に乗ってキングメーカーたらんとする岸田氏や菅氏の介入で状況は激変し、大逆転劇が生まれたのである。
麻生氏は、ともに高市氏に乗ろうと岸田首相に持ちかけていたらしい。しかし岸田氏は先述した通り石破支持を決めていたため、それを断った。麻生氏の完全なる敗北だった。









