3.卸売業
売上高 ─ 1億円
売上原価 ─ 8千万円 (大部分は仕入原価)
売上総利益 ─ 2千万円 (低い粗利率)
販売費一般管理費 ─ 1500万円 (最少人数、広告費なし、安い家賃)
営業利益 ─ 500万円
解説:
これはあまりリアルな事例ではありません。作り話としましょう。
実際には卸売業は薄利多売で、たった1億円の売上では成り立たない会社がほとんどだと思います。損益分岐点売上高が3億を超えるほう会社のほうが多いと思います(地方で食品卸売業を営む顧客がいますが、その会社も年商3億以上ないと成り立ちません)。
粗利率はどうしても落ちてしまう卸売業ですが(業種等によって10%以下から30%以上まで)、販売費一般管理費は、広告費はさほどかからず、かかるのは営業にかかる人件費、荷造運賃、保管料、車両費などが比較的目立つところでしょうか。
ちなみに私はかつて商社に務めていましたが、商社もまた、広い意味では卸売業です。
うちの場合、年間8000億円の売上をあげても、粗利率3%以下つまり240億円以下、従業員は1000人近くいましたから人件費は何やかんやで100億前後・・・、その他、世界各国にある事務所経費や、一等地にある本社の家賃、営業にかかる経費いろいろ締めて、営業利益率5%前後だったようです。(ソースは会社四季報)
営業利益率5%の大台を超えるためには、相当な規模で薄利多売をしなければならない業種ですね。
4.小売業(アパレル)
売上高 ─ 1億円
売上原価 ─ 6千万円(大部分が仕入原価)
売上総利益 ─ 4千万円 (粗利40%前後がこの業界は多い)
販売費一般管理費 ─ 3500万円(販売員給与、高い家賃、広告費、販促費など)
営業利益 ─ 500万円
解説:
小売業の粗利は、アパレルでだいたい4割、書店で2割、古本屋で8割など、だいぶ開きがあります。ですが、ここまで読んでいただいてもうお気付きの方も多いことでしょう、粗利が高ければ高いなりに、低ければ低いなりに、ビジネスモデルは構築できるものです。大切なのはバランスです。最終的に「営業利益」が出ればいいのです。
アパレル小売業の場合、比較的良い場所に出店するため家賃がかかります。
人件費も、多くの場合は安い賃金なのですが、人数が必要になるので総額としては結構な負担になります。よって、たった1億円の売上で500万円もの営業利益を出そうとしたら、役員報酬や販促費などを低く抑えないと難しいでしょう。
逆に言えば、人を雇わず、夫婦2人だけで自宅兼店舗で切り盛りしている小売業などは、たとえ売上が低くても利益が出ると思います。
ちなみに、私は商社勤務時代、アパレルの海外生産を担当していましたが、得意先のひとつが、メンズカジュアルの小売店でした。ここは年商100億を超えていましたが、低い単価設定やバーゲンセールの繰り返しで粗利は低く、その割には販管費をものすごくかけていましたので、最後には破綻寸前になってしまいました。
今でもよく憶えています。やはり、大事なのはバランス、大事な指標は営業利益なのだと思います。
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