年間売上高が1億円、営業利益は500万円。この数字は共通しているけれど、業種によって「収益構造」はまったく違うものとなります。それをわかりやすく示してくれているのが、メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』。著者の吉田さんの解説とともにその中身を紹介しています。
業種によってこんなに違う収益構造 ~ だけどここだけは共通している!
仮に年間売上高が1億円、営業利益500万円の会社が5社あるとします。
業種は、製造業(金属加工)、製造業(化粧品)、卸売業、小売業、飲食業、の5業種だとしましょう。
それぞれの収益構造は、こんなに違うという比較をしてみたいと思います。
1.製造業(金属加工)
売上高 ─ 1億円
製造原価 ─ 7千万円(職人の労務費4千、工場経費2千、減価償却費1千)
売上総利益 ─ 3千万円(一見すると粗利が低いように見える)
販売費一般管理費 ─ 2500万円(事務員給与500万、役員報酬800万、広告費ゼロ、あと事務所経費)
営業利益 ─ 500万円
解説:
この会社は原材料の仕入がかかっていません。金属部品が客先から持ち込まれて、それを加工するのが仕事です。
最もコストをかけているのは、職人さんの労務費と、工場や機械の維持費です。
逆に、事務方の経費はあまりかかっていません。事務はパートさん2名のみ。広告費はゼロ。
この会社の場合、利益の源となっているのは職人さんの技術と製造設備です。
宣伝や営業で業績を伸ばすタイプではありません。
それでも利益が出ているのは、職人さんと製造設備に社運をかけて、そこから全くブレていないからでしょう。
2.製造業(化粧品)
売上高 ─ 1億円
製造原価 ─ 4千万円(自社工場なし。全て外注費)
売上総利益 ─ 6千万円(一見すると非常に粗利率が高いように見える)
販売費一般管理費 ─ 5500万円(営業マン2000万、広告費1500万、その他)
営業利益 ─ 500万円
解説:
この会社は製造原価にあまり費用をかけないどころか、製造業なのに自社工場すら持っていません。
で、何に最もカネをかけているかというと、営業と広告です。
よく、化粧品業界は「夢を売るのが仕事」と言われていますが、この会社もまた、原価の低い商品を、巧みなイメージ戦略で高付加価値化して稼いでいるのです。
これは決して悪い事ではありません。大手の化粧品メーカーのIR情報を見てみてください。製造原価はもっと低く、販売費はもっとかけている場合もありますよ。そういうビジネスモデルなのです。
この記事の著者・吉田猫次郎さんのメルマガ







