迂闊に自公と連立しても参院選挙で損をするだけ
1つ目の懸念は「連立工作」に関するものです。事前の予想などでは、仮に自民と公明が過半数を「少しだけ」割り込んだ場合には、国民民主を引き入れて玉木首班、もしくは複数の閣僚ポストなどを条件に連立を組むという考え方がありました。
この問題については、玉木雄一郎氏などは「連立の誘いには乗らない」としていましたが、こうした発言はあくまで独立した公党として選挙を戦う上での「建前」だと思われていたのです。
ですが、現時点では玉木氏は簡単に連立工作には乗らないという態度を示しています。これには、自分たちを「高く売り込む」という思惑も感じますが、必ずしもそうとは言えません。
そこには特殊なカレンダーの魔力が作用しています。来年、2025年の7月には参院選があります。すでに投票日まで1年を切るどころか、9ヶ月しかないのです。つまり、今回の衆院選が終わったということは、同時に参院選の号砲が鳴ったということです。
仮に、ここでフルの連立を組むとなると、例えば国民民主が自公と連立した場合には、今回の公明と同じように「自民党と一緒だ」という見方をされることになります。昔の感覚ですと、2025年7月になれば裏金スキャンダルを有権者は忘れてくれるという感じもあります。ですが、今の有権者はネット上に残るネガティブ情報については、延々と記憶するという性質があります。
例えばですが、少し複雑な概念、例えば希望の党の排除の論理などという話になると、世論はほとんど覚えていません。ですが、小渕優子氏の「ドリル」事件などになると、経産相を辞任したのが2014年の10月ですから、もう丸10年になりますが、ネットの世界はいつまでも記憶しています。
そんな中で、フルの連立を組むというのは、候補者調整もするし、選挙運動も協力することになります。仮に、玉木氏が総理ないし、副総理格で入閣しているとなると、2025年7月の参院選で「出戻りの萩生田氏」と一緒に参院の候補を応援しなくてはならないということになります。これは玉木氏にとっては悪夢でしかありません。








