国民民主・玉木代表が「自公国」連立政権の夢を見ない最大の理由。衆院選で示された「日本の民意」はどこにあるか?

 

もう1つの懸念は「日本の民意」と現実との乖離

2つ目の懸念は「民意の平均値」に関するものです。今回の選挙結果をみると中道に寄せたというのは言えます。ですが、完全にプラマイゼロのど真ん中に来たのかというと、必ずしもそうではありません。

今回の民意の平均値としては、漠然としたものではありますが、次のような感触を感じます。

「雇用規制の緩和、DXなどの改革にはやや懐疑的

「防衛費増額、憲法改正、辺野古建設、アジア冷戦の緊迫化にも懐疑的

「原発再稼働を含むエネルギー多様化にも懐疑的

積極的に反対とまでは行かないものの、この3点については、どうも民意の平均値はこのような懐疑的な部分にあるようです。しかし、ではこのような、つまり立憲の野田派のポジションあたりに平均値があるので、そこを採用すれば国の舵取りが上手くいくのか?というと、残念ながらそうではありません。

雇用規制は緩和しないと、人手不足の中で雇用と経済成長のミスマッチは解消しないし、DXも含めた生産性向上をしなければ全員が不幸になります。中国は、簡単に穏健外交に転じるとは考えられません。そんな中で、バランス・オブ・パワーを軽視しすぎると全員が不幸になります。エネルギーの不足と不安定が続けば、鉄も半導体も作れなくなります。

ですが、民意の中間値が中道に少し寄りすぎているにしても、現実との乖離に関しては逃げられないのですから、「何とかなる」という考えもできます。さらには「是々非々の議論の可能性が拡大する」のなら、最終的には着地すべきところに行くのではという考え方もあります。

安倍政権がのらりくらりと改革を避けて時間を空費した時期、民主党がトンチンカンな政治をしていた時期のことを思うと、もう少し建設的な時間が来るのかもしれません。

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