(2)麻生が高市を担いで反撃開始か
総裁選の第1回投票の結果が示したように、安倍政治の継承を掲げる高市早苗とそれを担ぐ旧安倍派、麻生派と、曲がりなりにも「非安倍化」を目指す石破支持勢力とは、党内を二分して拮抗している。石破政権のヨタヨタぶりを見て、高市派が「これでは来春の都議選、来夏の参院選は戦えない」と声を上げ石破下ろしに打って出るタイミングを見計らっているのは当然だろう。
しかし、この陣営の黒幕を気取る麻生太郎=党最高顧問は、事を急がず石破がボロを出し続けるのをよく見極めてから一気に動くのが上策と考えていて、最終的には、都議選の不調を理由に石破を引き下ろし、高市総裁で参院選を戦うことを想定していると言う。
とはいえ、高市派の勢力も総裁選の時がピークで、衰えが速い。総裁選で高市の推薦人として名を連ねた衆院議員は11人(うち安倍派7人)だったが、今回選挙でその中の7人(うち安倍派6人)が消えた。また、今年2月に解散するまでの安倍派を取り仕切っていた「6人衆」のうち、塩谷立は立候補断念、世耕弘成は離党して無所属で上がってきたが党外にあり、高木剛は落選したので、残っているのは松野博一、萩生田光一、西村康稔の3人だけである。
さらに、第2次安倍政権を生んだ2012年総選挙で出てきた「安倍チルドレン」は、当初119人の大勢力を誇ったが、今回選挙を経て生き残っているのは46人にすぎない。麻生がいくら力んで最後の勝負をかけようとしても軍団そのものが半分かそれ以下に縮んでしまったのでは、なかなか戦いにならないだろ
う。
(3)公明党衰弱で自公連立の行方不安
公明党は、いささか極端かもしれないが、今回選挙で「終わった」のではないか。解散時32議席が24に減ったという数の問題以上に、党首の石井啓一が埼玉14区で、副代表の佐藤茂樹が大阪3区で、共に落選し役職を辞任せざる得なくなるという、党としての組織そのものが壊滅しかかっている。
自公連立が始まって25年。それに慣れ切って、自民党との協力以外に選挙のやり方を知らない体質になってしまった。そのことを悪い形で象徴したのが、自民の裏金非公認議員30人以上に公明党として「推薦」を付与したことで、この問題に敏感な有権者から「何だ、公明も共犯者なのか」と」思われたことが大きなダメージとなった。
加えて、基盤である創価学会の急速な高齢化によって活動量そのものが減退して行く中で、ピーク時=2005年には900万票近くあった比例得票数も、ついに今回600万を切って過去最低の596万票を記録するという有様。どこまでも自民に従って心中するしか道はないのかを問い直す機会が迫っているのではないか。
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