いじめ認知数「73万件」という数字を読み解く2つのポイント
この調査のいじめの定義が平成24年に法律施行より1年前倒しで変わった当初は、18万件台が認知数であった。

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」より抜粋
これが、統計が進むうちに、およそ73万件を超える爆増をしたということは、数が増えたと見るのが妥当のように思えるがその実そうではない。この数字を読み解くポイントは2つある。
1つ目は、これはいじめの「実数」ではなく、「認知数」だということだ。つまり、およそ73万件に実数が増えたのではなく、73万件認知できたということだ。だから、いじめ事件が増えたのではなく、認知が増えたのであって、実数が増えたということは意味していない。
2つ目は、文科省が出している通知である。この多くは、「いじめを定義通りにカウントしてください」「丁寧に対処してください」「どこでもいじめは起きますから起きたことを隠さないでください」「地域別の差異は大きな問題です、しっかり報告してください」というものだ。ここからわかることは、注意されていることは出来ていない事実があるからということだ。つまり、実数はもっと多いと見るのが妥当だということだ。
つまり、子どもの人口は年々減る一方なのに、いじめの実数はおおよそ100万件以上あろうあり、認知に積極的な自治体とそうでない自治体で大きな差があるということであり、現状の数はまだ足りていない数としてみるべきだろうが、逆に考えれば、定義が変わった直後から本来であれば、いじめとして対応すべきであった何十万件ものいじめが、認知すらされず闇に葬られていたとも考えられるのだ。これを隠ぺい横行、隠ぺいが常識社会な異常な状態と言わずしてなんと言おうかということになろう。
認知数としてみれば、およそ73万件は少ないと見る、これが私の答えであり、その分多くの隠ぺいが行われたのだと考える。
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