中国に「怒りの声」が大噴出。CO2排出量世界一も「途上国」として優遇され続ける“銭ゲバ国家”の信用できぬ言い分

 

途上国が先進国に要求した「気候資金」の年額

で、そんな今回の「COP29」では、先進国が途上国の温暖化対策を支援するための気候資金をいくら出すのか、というテーマが最大の議論となりました。何をもって先進国とするかは複数の定義があるので一概には言えませんが、ザックリ言えば世界は約50の先進国と約150の途上国によって構成されています。そして、日本を含むG7を筆頭とした先進国側が、途上国側に対して「気候資金」を支払って来ました。

現在、先進国側から途上国側へ支払われている気候資金は「年間1,000億ドル(約15.5兆円)」です。しかし、この金額が支払われる期限が来年2025年までなので、今回は「2026年以降の気候資金をいくらにするか」ということが議論されたのです。そのため、途上国側を「労働組合」、先進国側を「大企業」に見立てれば、今回の「COP29」は、まさに「春闘」だったわけです。そして今回、日程が2日ほど延長されたのは、「労働組合」である途上国側の要求に対して、「大企業」である先進国側の回答がまったく折り合わなかったからです。

現在の「年間1,000億ドル」という気候資金に対して、途上国側は「これではまったく足りない」という統一意見であり、今回は現在の13倍の「年間1兆3,000億ドル(約201兆円)」を要求しました。しかし、先進国側にも、それぞれのお国事情やお財布事情があるため、足並みは揃いません。

そもそもの話、現在の「年間1,000億ドル」という気候資金の金額は、2009年にデンマークで開催されたCOP15で「2020年までの目標」として掲げられたものでした。しかし、これだけの金額は一朝一夕には集まらず、2020年までに目標は達成できませんでした。そして、何とか「年間1,000億ドル」という目標が達成できたのは、2年遅れの2023年、つまり昨年だったのです。これには多くの途上国から批判の声が噴出しました。

で、ここまでの流れを踏まえた上で、今回の合意内容へと戻りますが、今回、日程が2日ほど延長されたのは、新たな目標金額がなかなか折り合わなかったからです。現在の「年間1,000億ドル」を13倍の「年間1兆3,000億ドル」に引き上げろという途上国側と、2.5倍の「年間2,500億ドル」が精いっぱいだという先進国側とでは、金額が乖離し過ぎていたのです。

そして、最終的には先進国側が次の目標額を現在の3倍超の「年間,3000億ドル以上」へと引き上げることで、何とか形だけは「合意」という体裁を整えたのですが、これにしたって現時点では「絵に描いた餅」に過ぎません。初めに書いたように、あくまでもこれは「2035年までの目標」だからです。

現在の「年間1,000億ドル」という目標ですら、達成までに2年遅れて14年も掛かったのです。わずか10年でそれを3倍以上にするなんて、本当に可能なのでしょうか?そして、この合意案が奇跡的に達成できたとしても、それは途上国側が必要な温暖化対策の経費として要求している金額の4分の1にしか過ぎないのです。さらに言えば、国連のグテーレス事務総長は、今回のCOP29の開催に当たり、次のように述べていました。

「途上国はクリーンエネルギーへの移行やすでに直面している厳しい気象に対処するために緊急の支援を必要としており、COP29では数兆ドルの新たな資金目標に合意する必要がある」

途上国は現在の13倍の「年間1兆3,000億ドル」を要求しましたが、途上国全体の現状を総括的に検証したデータを見たグテーレス事務総長は「数兆ドルが必要」と述べていたのです。しかし、結果は「3,000億ドル以上」でした。一応「世界全体で途上国への官民合わせた拠出額が2035年までに年間1兆3,000億ドル(約201兆円)に達するよう目指す」という文言を成果文書に掲載することで折り合いを付けましたが、この文言には何の効力もなく「絵に描いた餅」ですらありません。これでは、言葉は悪いですが「焼け石に水」です。

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