中印はいつまで途上国側に居座っているつもりなのか
2日間の延長の末、この合意案の内容が発表されると、会場は拍手に包まれました。しかし、インド代表として参加していたチャンドニー・ライナ氏は「この文書に書かれた金額はあまりにも少なく、私は目の錯覚かと思った。こんなハシタ金では私たちが直面している重大な課題に対処することはできない」と不満を爆発させたのです。
そして、小島嶼国(しょうとうしょこく)連合(AOSIS)のセドリック・シュスター議長は「私たちの島々は海に沈みつつある。そんな私たちの国々の人々や子どもたちのもとへ、こんなにも不十分な合意文書を持って帰れと言うのか」と怒りと悲しみを滲ませた目で述べました。
…というわけで、遅ればせながら、ここで昨年度のCO2排出量のワーストランキングの上位5カ国を見てみましょう。数字の単位は「100万トン」です。
1位 中国 11,218.37
2位 米国 4,639.71
3位 インド 2,814.32
4位 ロシア 1,614.73
5位 日本 1,012.78
これを見て、あたしが感じたことを率直に言わせてもらうと「インドはいつまで途上国側に居座ってるつもりですか?」という一点です。確かにインドの貧困率は高いですが、その一方で、もの凄い大富豪もたくさんいます。温暖化による海面上昇で海へ沈み行くツバルなどの小島嶼国のように、ほとんどCO2を排出していないのに大国のシワ寄せで被害を受けている途上国への支援は当然ですが、インドのように自分の国で大量のCO2を排出していながら、先進国からカネをむしり取ろうという手口は納得できません。自国の大富豪たちの資産に高率の税を課すなどして、自国のことは自国でやってほしいと思います。
また、世界最大のCO2排出国であり、世界2位の経済大国でありながら、未だに「途上国」として優遇されている中国は、今回も先進国側が主導した成果文書の草案を批判し、気候資金の「年間1兆3,000億ドル」への引き上げを要求する途上国側の立場を強調しました。一方、そんな中国に対して、先進各国からは不満の声が噴出しています。日本を始めとした先進各国からは「中国はCO2排出量を増やしながら経済成長して来たのだから気候資金も応分を負担すべき」との声が強まりました。
これに対して中国は、途上国間での「南南協力」などの枠組みで、2016年以降にトータルで約240億ドルの気候資金を拠出したと表明しました。つまり、中国もやることはやっている、という言いぶんですが、アフリカの国々を食い荒らしている現状からも推測できるように、中国の途上国への資金援助はすべて見返りありきのビジネスなのです。この自称「気候資金」も実体は不明なのです。
こうした現状を見れば、2017年に当時のドナルド・トランプ大統領が「中国やインドやロシアは何も貢献していないのに、アメリカだけが何十億ドルも払わされる不公平な協定だ!」とブチ切れて「パリ協定」から離脱したのも一理あると思わざるをえません。
そんなアメリカは、2021年にジョー・バイデンが大統領に選ばれたことで「パリ協定」に復帰し、途上国への気候資金もオバマ政権時の約4倍の「年間110億ドル」の搬出を掲げました。そして、毎年増額し続け、昨年2023年には「年間95億ドル」と、日本に次ぐ先進国2位の貢献をしたのです。しかし、これが国内で格差と分断が広がり続ける今のアメリカでは批判され、「アメリカ・ファースト」を叫ぶトランプを勝利させる一因となってしまったのです。
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