「非常戒厳→解除」「弾劾訴追→否決」いま韓国で何が起きているのか?

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韓国のユン大統領が突然宣布した「非常戒厳」、そして野党がユン大統領の職務停止を求めて「弾劾訴追」を行うなど、日本のお隣「韓国」が大きく揺れています。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、一体いま韓国で何が起きているのか、海外紙を参照に紹介、解説しています。

韓国、戒厳令の理由

ご存じのように韓国のユン大統領が12月3日夜に非常戒厳を宣言しました。

しかし、数時間後に解除を発表しました。

その後、大統領の職務停止を求める弾劾訴追が行われました。

それが国会で否決されたという状況です。

「一体、どうなっているのだ?」

と、多くの人が思われていることでしょう。

そもそもなぜ戒厳令が必要だったのか?

日本の新聞・TVの報道をみてもよくわかりません。

12月3日夜、戒厳令を出した時のユン大統領の演説の原文が読みたいと思ったのですが、それが掲載されている記事がみつからないのです。

調べたらスポーツソウルとニューヨークタイムズに掲載されていました。

演説全文(スポーツソウルから)

尊敬する国民の皆様、私は大統領として血を吐く気持ちで国民の皆様に訴えます。

これまで国会は韓国政府発足後、22件の政府官僚弾劾訴追を発議しており、今年6月の第22代国会発足後も10人目の弾劾を進めています。これは世界のどの国にも類例がないだけでなく、韓国建国以後にまったく類例がなかった状況です。

判事を脅かし、多数の検事を弾劾するなど、司法業務を麻痺させ、行政安全部長官の弾劾、放送通信委員会委員長の弾劾、監査院長の弾劾、国防長官の弾劾の試みなどで、行政府まで麻痺させています。

国家予算処理も、国家本質機能と麻薬犯罪取り締まり、民生(国民の生活)治安維持のためのすべての主要予算を全額削減し、国家本質機能を毀損し、大韓民国を麻薬天国、民生治安恐慌状態にしました。

民主党は来年度予算で災害対策予備費1兆ウォン、子どもケア支援手当て384億ウォン、青年働き口、深海ガス田開発事業など4兆1000億ウォンを削減しました。さらに、軍の初級幹部の給料と手当ての引き上げ、当直勤務費の引き上げなど、軍幹部の処遇改善費さえブレーキをかけました。

このような予算暴挙は、一言で言って、大韓民国の国家財政を翻弄するものです。予算までもひたすら政争の手段として利用する民主党の立法独裁は、予算弾劾までも躊躇しませんでした。

国政は麻痺し、国民のため息は増えています。これは自由大韓民国の憲政秩序を踏みにじり、憲法と法によって建てられた正当な国家機関を撹乱させるもので、内乱を企てる明白な反国家行為です。

国民の暮らしは眼中にもなく、ひたすら弾劾と特別検察官の野党代表の防弾で、国政は麻痺状態にあります。今、韓国国会は犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てています。

自由民主主義の基盤となるべき国会が、自由民主主義体制を崩壊させる怪物になったのです。今、大韓民国は崩壊してもおかしくないほどの風前の灯火の運命に置かれています。

親愛なる国民の皆様。私は北韓(北朝鮮)の共産勢力の脅威から自由大韓民国を守り、韓国国民の自由幸福を略奪する破廉恥な従北反国家勢力を一挙に撲滅し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布します。

私はこの非常戒厳を通じて、亡国、奈落に落ちる自由大韓民国を守り抜きます。そのために、私はこれまで敗悪行為をしてきた亡国の元凶、反国家勢力を必ず撲滅します。

これは体制転覆を狙う反国家勢力の蠢動から国民の自由安全、そして国家持続可能性を保障し、未来世代にまともな国を譲るための避けられない措置です。

私はできるだけ早いうちに反国家勢力を撲滅し、国家を正常化させます。

戒厳宣布により、自由大韓民国の憲法価値を信じて従って下さった善良国民に多少不便がありますが、このような不便を最小化することに注力します。

このような措置は、自由大韓民国の永続性のためにやむを得ず行うものであり、大韓民国が国際社会における責任と貢献を果たすという対外政策の基調には何の変わりもありません。

大統領として国民の皆様に心よりお願い申し上げます。私は国民の皆様だけを信じて、自由大韓民国を守ります。

私を信じてください。ありがとうございます。

解説

政府官僚への弾劾訴追の連発で国会が機能していないことはわかります。

これは戒厳令の理由にはならないでしょう。

この演説の重要なポイントは以下です。

「親愛なる国民の皆様。私は北韓(北朝鮮)の共産勢力の脅威から自由大韓民国を守り、韓国国民の自由幸福を略奪する破廉恥な従北反国家勢力を一挙に撲滅し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布します。」

しかし、戒厳令を出すのであれば、国内の従北反国家勢力が今、何をしようとしているのかを証拠を明示して説明する必要があるでしょう。

今からでも、ユン大統領にそれを説明してほしいものです。

ユン大統領になって日韓関係は劇的に改善しました。

北朝鮮への強固姿勢も明確にしています。戒厳令に正当な理由があるのであればそれを聞きたいのです。

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image by: Hashflu, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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