個別銘柄を利確して現金比率を増やしていく
私の準備というのはシンプルで「現金を増やして相場の激変に備える」というものだ。
私のこの動きは金融専門用語では「エクスポージャーを減らす」と表現される。エクスポージャーとは要するに「特定のリスク要因」のことなのだが、「株式市場のリスクが大きいので、一部を現金化してリスクを下げる」のが、エクスポージャーを減らすという意味となる。
とはいっても、私は株式市場から全降りしたいと思っているわけではない。たとえば、ETF【VTI】は私のコア銘柄となっているのだが、これについては相場が下がっても売らずに保有し続け、ドルコスト平均法による定期的な買いは止めるつもりもない。
しかし、個別銘柄については利確していき、現金比率を増やしていく。
相場が上昇したらETF【VTI】で利益が取れる。相場が下落したら保有している現金でいろんな可能性を探れる。相場が停滞したらのんびり様子見することができる。どっちに転んでも構わない。そうやって、したたかに生き残る。
基本的に今の相場は「上昇し過ぎ」の局面でもあるので、個別銘柄から足抜けするにはちょうどいい。2024年12月にはS&P500やナスダック総合指数が史上最高値を更新したし、米国株式市場の上昇は目を見張るものがあった。
「100%を超えると割高」と判断されるバフェット指数も200%を超えている。
S&P500のPER(株価収益率)は約15~20倍が平均的とされるのだが、現在のS&P500のPERは25倍を超える水準で推移している。特にテクノロジーセクターでは50倍を超える企業もザラにある。
テクノロジーセクターに限っていえば、歴史的には1~2倍程度が正常とされる株価売上高比率(PSR)も、主要なテクノロジー企業は10倍を超えるケースが増えている。これは、収益の実態に比べて株価が大きく上昇していることを示している。
株価指数を10年平均のインフレ調整後の実質利益で割った値であるシラーPERは長期的な視点で市場の割高・割安を評価するもので、10倍以下になると市場が割安、25倍を超えると市場が割高と判断されるのだが、現在の米国市場のシラーPERは約30倍を超える水準に達している。