3.デジタルネイティブ対応の教育
現在、我々はスマホに依存して生活している。乳幼児が愚図ると親がスマホを与えるケースも少なくない。親の顔や声を覚える前に、スマホの操作を覚える子供もいるだろう。検索ができるようになれば、次々と情報が提供されるので、興味のあることには大人より詳しい子供もいる。まさに、デジタルネイティブである。
デジタルネイティブの特徴としては、次のようなものがある。
(1) デジタルリテラシーが高い
(2) スマートフォンやタブレットの操作に慣れている
(3) アプリを活用して日常生活を効率化している
(4) インターネットを通じたコミュニケーションを活発に行っている
(5) 情報収集能力が高い
(6) SNSをフル活用している
こうした生活環境の変化に学校は対応できていない。物心ついた時からスマホが存在した世代にとって、アナログな教育システムは効率が悪く低レベルなものに違いない。スマホを開けば高度で専門的な情報が入手できるのに、それを禁止され、興味のわかない授業を強制される。学校、教師、親に対して、不信感を抱くのも不思議ではない。
特に自我に目覚める中学生に対する教育の革新が必要ではないだろうか。
4.職業に直結した中学教育を
まず、生徒全員に一律的な教育を行うという前提を疑わなければならない。人間は多様であり、能力も価値観も異なる。将来の目標も大学進学、サラリーマンだけではない。
現在は中卒で就職する人は少ないが、今後は好きな仕事を早い時期から開始したいという希望も増えるだろう。その場合も、一度社会に出てから、改めて専門的な研究を行える可能性を確保しておきたい。
中卒から社会人になることを前提に考えれば、受験を前提にした教育では対応できない。もっと、職業に直結した実践的な教育プログラムが必要になる。
生活に必要な「読み書き算盤」や、職業教育の基礎となる「技術家庭」で教える調理、裁縫、木工、電気等に関するモノづくり、音楽、美術、体育等がより重要になる。これらの教育には、既存の教師だけでなく、地域の芸術家、技術者、経営者等の参画が効果的である。外部の人材が生徒と交流することで、開放的な環境になれば「いじめ」も減るのではないか。
実技を伴う科目は選択制にしても良いし、座学中心の科目はリモート授業やタブレット活用の自習でも対応できるだろう。
自分の興味のある科目を選択し、地域の専門家と交流することで、生徒は自主性が高まれば、無気力、無関心な生徒は減少するだろう。
この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ









