5.教育特区で地場産業を学ぶ
こうした実験的な教育を実践しようとしても、文科省教育指導要領がある限り、自由なカリキュラムの組み立ては難しい。
しかし、教育特区制度を活用すれば実現可能である。
教育特区とは、特定の地域において教育に関する規制を緩和し、地域の特色を生かした教育課程や学校運営を実施するための特別な区域のことを指す。この制度は、2003年に導入された「構造改革特別区域法」に基づくもので、地域の活性化を目的として特定の規制を緩和することが可能になる。
教育特区の主な目的は、地域ニーズに応じた教育の提供を促進することだ。例えば、特区内では株式会社が学校を設立することが可能となり、これにより多様な教育機関の設立が促進された。通常、学校の設置主体は国や地方公共団体、学校法人に限定されているが、特区ではこの制限が緩和され、地域の特色に応じた教育が実現可能になる。
具体的な例としては、世田谷区の「日本語教育特区」や、宮城県角田市の「小学校英語教育推進特区」などが挙げられる。これらの特区では、地域の特性を生かした教育課程が編成され、地域住民の教育ニーズに応じた取り組みが行われている。
地域の特色に応じた教育という意味では、地場産業との連携が今後の主流になるのではないか。既存の公立中学校の中に職業教育コースを設置し、大学進学とは異なる選択肢を生徒に与えることもできるだろう。
あるいは、特別講義として、地域の経営者や技術者による「地場産業を学ぶ」「商店街を学ぶ」という講座を行う。地場産業や地元企業、多様な職業を認知してもらうことで、地元での就職を推進することも可能だろう。
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■編集後記「締めの都々逸」
「大学出たけど 仕事がなくて 手に職つける 決意する」
教育特区制度は、小泉構造改革で生まれた制度です。郵政民営化より価値ある制度だと思いますが、あまり活用されていません。
地場産業は経産省の管轄であり、文科省との付き合いがないんですな。私も教育による地場産業活性化は考えたことがありませんでした。
今後は早くから進路を見定めて、早い時期に社会に出た人が幸せになる時代になるかもしれません。自分の進路が決まらない人が大学まで進学する。学歴で給料を査定するのをやめて、能力や実績で査定するようになれば、問題ないと思います。
学校も時代に取り残されていますよね。もっと楽しく、効率よくできると思うのですが、大学の先生はそういうことを考えてくれないんだなぁ。(坂口昌章)
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