狙うは「トランプ退任後」か。停戦“受け入れ”のプーチンが着々と進めるウクライナと周辺国へ「大規模本格攻撃」の準備

 

米国に再び秩序の守り手として立ち振る舞う覚悟はあるか

「秩序なくさまよう国際情勢‐強国がすべてを牛耳る世界の継続か?それとも分極化する無秩序な世界の固定化か?」

今回のタイトルにもなったこの問い。私自身の答えは「どっちも」です。

アメリカが強国として君臨し続けることと思いますが、そのカギを握るのは、再び国際社会の秩序の守り手としてアメリカが立ち振る舞う覚悟があるかどうかです。

国際的な物流を守るための圧倒的な海軍力を発揮する覚悟。紛争に介入してできるだけ迅速に収め、停戦を保証するための立ち位置に戻る覚悟。

これらが復活するようなことになれば、アメリカが真のスーパーパワーとして、功罪両方あるでしょうが、国際社会に秩序をもたらす存在になり、世界は安定し、再び協調の輪に戻るすることになるでしょうが、これから始まるトランプ大統領とその政権は、再度方向転換をする覚悟があるでしょうか?

もし、その代わりに、クリントン政権以降続く、国際案件から距離を置き、地域のことは地域に任せるという姿勢を貫き、世界の7つの海にプレゼンスを持つ唯一の強国の立場から撤退するようなことがあれば、それは他の強国であるロシアや中国、そして中国と競うインド、アフリカの雄である南アフリカ、そしてラテンアメリカ諸国を纏めようとするだろうブラジル、そしてアメリカを上手に使いつつ、中南米を抑えようとするメキシコなどが割拠して、それぞれに仲間づくりをして勢力圏を築くことになると思われます。

欧米型の旧来の統治方法(民主主義陣営)による価値観の押し付けにうんざりする国は、中ロが築く国家資本主義体制と与するか、すでに表れているようなグローバルサウスのように、緩い結合体で、自立主義的な繋がりを持つブロックに寄せられ、第3極を作って、国際社会における分断の確定に寄与することになるでしょう。

トルコはすべての陣営に足を突っ込み、ブロック間の調整役と言った特殊な立ち位置を築こうとするでしょうが、どこからもフルには信用されない立場を貫くことになり、今後も難しい存在になると思われます。

そのような世界で日本はどこに立ち位置を見つけるのでしょうか?

今後も“唯一の同盟国”アメリカについていくのでしょうか?それとも、トルコ的な立ち位置を、できるだけ周りを刺激せずにのほほんと実現していくことを選ぶのでしょうか?それとも、まだ想像さえできないようなユニークな立ち位置を確立し、世界新秩序を構築する一翼を担うことになるのでしょうか?

来週から始まるアメリカのトランプ政権の4年間のうちに、新しい国際社会の姿が浮かび上がってくるものと考えています。

不確定要素が多すぎて大変ですが、2025年の国際的な荒波をしっかりと越えていけますように。

以上、国際情勢の裏側のコラムでした。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2025年1月17日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)

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