詐欺に遭わないため知っておきたい「割り算の手口」
警察をかたる詐欺を見てわかるように、犯罪グループは割り算の発想で、相手をだまします。詐欺のストーリーを幾つかのパートにわけて、その部分を各詐欺師が担当して、被害者を罠にはめようとします。
最初は、自動音声ガイダンスの電話を通じて「電話関連会社の人間」が出てきます。ここでは個人情報を収集して、詐欺行為をするためのお膳立てをします。
次に、詐欺の話を信じさせるための大阪府警になりきった人物が出て、警察に出頭するように話します。この時、北海道の方には、愛知県警をかたり、電話口の相手が絶対に行けないような警察署を口にします。
三つ目が、お金を払わせるための催促役の検察官が出てきて、振り込みの具体的な指示をします。
オレオレ詐欺もそうですが、息子役、上司役、弁護士役などを登場させて、だましとろうとしますが、詐欺グループの話を聞きくなかでよく出てくる言葉が「一線、二線、三線」という役割分担です。
一線では市役所や、銀行職員になりきって、相手の情報を収集することに専念します。
そこで相手をだませる可能性が高いと思えば、二線を担当する人物が、警察などをかたり「あなたのクレジットカードが不正に使われている」「犯罪グループを逮捕したら、あなたのキャッシュカードが出てきた」と話します。
三線では、弁護士が出てきてお金を家に準備しておくようにいって、「受け子」をその人の自宅に向かわせるなど、お金をだまし取る算段に入ります。
詐欺グループのメンバーらは、自分が担当するパートでは何度も同じ話をしているために、プロの領域に達しています。それゆえに、人々は「疑い」の気持ちを持たせられないままに、だまされてしまうわけです。
こうした詐欺の手口にひっかからないためには、役割分担(割り算)の手口を知り、いかに早く電話を切って誰かに相談するかが、被害に遭わないためのカギとなります――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年12月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録後、2024年12月分のバックナンバーをお求めの上お楽しみください)
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