トランプvs石破茂の「相互関税ゲーム」で手玉に取られる日本。首脳会談は友好ムードでも国内農業に大打撃の恐れ

 

トランプの「相互関税」に仕掛けられた“農産物の罠”

トランプ氏冒頭発言「米国は日本に対して1000億ドル以上の貿易赤字がある。それについて早急に対処する。石油とガスについてできる。我々はどちらもそれを理解している」

──日本に関税を課す計画はあるのか。

トランプ氏「関税、特に相互関税は計画しており、月曜日か火曜日に会議し、発表し、記者会見も開くだろう」

──相互関税の計画に対し、石破氏はどういった反応を示したか。

トランプ氏「関税についてはあまり協議しなかった。アラスカ州のLNGパイプラインなど多くの課題について協議した」「日本がすぐにでも(LNGの輸入を)始めることはとてもうれしい」

───もし米国が日本に関税をかけるとすれば、日本は報復関税をかけることになるのか。

石破氏「仮定のご質問にはお答えをいたしかねる、というのが日本の大体定番の国会答弁だ」

トランプ氏「とても良い答えだ。素晴らしい。彼は要領をつかんでいる」

この話の流れから推察できるのは、アメリカの貿易赤字を解消するために、日本は石油、ガスの輸入を拡大することで合意。関税については米側が「相互関税」を計画しているということだ。

相互関税とは、相手国が高い関税を課している場合、同等の関税を課す仕組みだが、実はこれ、日本にとって大きなリスクをはらんでいる。

相互関税を厳密に適用するなら、たとえば輸入自動車の場合、日本が関税を0%にしている以上、米国も日本車に対する2.5%の関税を撤廃するのが筋である。

しかし、トランプ大統領の「相互関税」発言の意図は、「米国が不利になっている」と考える分野で関税を引き上げるということであり、必ずしも公平な意味での相互関税ではない

たとえば、「米国の自動車関税をゼロにする代わりに、日本の農産物関税を大幅に引き下げろ」とトランプ大統領が言い出すかもしれないのだ。米国が農産物に関税をかけていない一方で、日本は米(778%)、麦(252%)、牛肉(25.8%)など高関税で国内農業を保護しているのは周知の通りである。

日本が農産物の関税を下げることになれば、国内農業への影響が甚大であり、政治的な混乱は避けられない。

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