トランプvs石破茂の「相互関税ゲーム」で手玉に取られる日本。首脳会談は友好ムードでも国内農業に大打撃の恐れ

 

トランプの「手のひら返し」で本当の勝負が始まる

今回の首脳会談における合意は、なんとか石破首相が想定した範囲内におさまったのかもしれない。しかし、石破首相にとってトランプ大統領との本当の“勝負”はこれからだ。

トランプ大統領が交渉のための戦術として相手を持ち上げ、親密さを演出するのは多々あることで、石破首相がその恩恵にあずかったことは必ずしも長期的な友好関係を保証されたものではない。

トランプ氏は、今回の会談で日本側から大きな譲歩を引き出したのだから、その「成功」を米国内に大々的に宣伝するために友好ムードが欠かせなかった。

実際、トランプ大統領はしばしば、ディールの相手を持ち上げた後に手のひらを返してきた。「素晴らしい友人」と称えていた中国の習近平主席に対する姿勢はその一例だ。一度にすべての要求を提示せず、段階的にプレッシャーをかける。それがトランプ流だ。

GDP比2%への防衛費増額目標では満足できず「さらなる米国製兵器購入」と「米軍駐留費負担増」を日本に求めてくる可能性はきわめて高い。石破政権がいつまで続くかは不透明だが、トランプ大統領に御しやすいと思われたことは間違いない。

石破政権の存続をトランプ氏が願うなら、安倍・トランプ時代の蜜月関係のようなものが復活し、石破首相の延命に追い風となる可能性もあるだろう。「優しい人」「気配りのできる人」というトランプ観をこれから先も変える必要のない間柄が続くよう、石破首相は祈るしかあるまい。

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