優良企業を選べるかどうかが人生の分かれ目
いつ、市場の大暴落がくるのか、そんなことは誰もわからない。たとえば、2008年のリーマンショックだが、サブプライムローンがクズの債券の集まりだと気づいて空売りを仕掛けていたグループもいる。
2015年の映画『マネー・ショート』では、そうしたグループの裏事情が描かれているのだが、彼らがサブプライムローンのリスクと壮大な格付け不正に気づいたのは2006年頃だった。その時点から、彼らは市場が暴落すると気づいて空売りを仕掛けた。
ところが、2006年が過ぎ、2007年になっても、市場は上がっていき、彼らは窮地に落ちていった。市場最悪の暴落がくる可能性がわかっていても、「いつ」暴落がくるのかわからず、2年も待たされて、もがき苦しむことになったのだ。
それくらい、相場の動きはわからない。
そのため、空売りでリターンを取るよりも、実際に大暴落がきてから優良企業の株式やS&P500連動ETFなどを「爆買い」するほうがいい。いつ相場が回復するのかわからなくても、暴落したところをフルインベストしているのだから、あとはのんびり待っていればそのうちに「一攫千金」となる。
そう考えると、大暴落のチャンス時に優良企業の株式やS&P500連動ETFを大量に買えるかどうかが人生の分かれ目になっていくということでもある。
暴落局面では、業績の良好な企業も一時的なパニックにより株価が大幅に下落する。このような局面において、財務体質が堅固で持続的成長が見込まれる企業を選定し、資金を一気に投入する行為は、極めて合理的な投資戦略である。
もちろん、S&P500連動ETFである【VTI】【VOO】【SPY】などを大量買いするのも防衛的判断として優れている。
ただし、暴落時に大量買いするというのは、口で言うのは簡単なのだが、実際にできる人はほとんどいない。なぜなら、企業自身も、マスコミも、個人投資家も、ヘッジファンドも、まわりの人たちも、ほぼ全員が「総悲観」なのだ。
企業も当面の見通しは暗いことを報告し、エコノミストもほぼ全員が多くの企業にダウングレードの評価を出す。そんなときに、ひとりで買い向かうのは、相当な勇気が必要である。









