石破首相は国民民主から維新に乗り換えて政権を維持できるのか?
「国民民主にウンザリしている」(政治ジャーナリスト、田崎史郎氏)という自民党内の空気の中で、石破首相は国民民主とタッグを組むことをあきらめ、今後は日本維新の会と連携していくつもりなのだろうか。
そんなことをしたら国民民主の信頼を失い、少数与党の政権運営はより心細いものになるだろう。
自民、公明、維新の3党が合意した「高校授業料の無償化」は、私立高の就学支援金について、26年4月から所得制限を撤廃し、上限額を45万7千円に引き上げるというのが主な内容だ。すでに大阪、東京で実質無償化されているが、私学に受験生が集中して公立が定員割れする傾向が生まれている。その点は今後の検討課題だろう。
ともあれこれで、維新の衆議院議員(38人)は25年度予算案に賛成する見込みとなった。国民民主が反対しても年度内に予算が成立するのは確実だ。
それにしても、石破首相は危険な賭けに出たものである。参議院選を有利に戦おうと思えば、勢いのある国民民主の政策を実現したほうがいいに決まっている。ところが、国民民主との協議が難航していたさなか、維新の共同代表になった前原誠司氏が“助け舟”を出すかのように現れ、予算案への賛成をちらつかせながら「教育無償化」の協議を求めたため、石破首相はそれに飛び乗った。
財務省の「財源はどうする」論から抜け出せない石破首相は、大多数の働き手の手取り増につながる国民民主の政策をないがしろにしてまで、維新と手を握ることを選択し、予算案の年度内成立が見通せる安堵感にようやくたどり着いた。
維新は“政策実現レース”でひとまず勝利を手にし、国政において存在感を放つための道を開いた。しかし、25日の両院議員総会では、予算案に反対するべきだという意見など、執行部に対する不満が噴出した。維新の党内はあいかわらず分裂含みだ。









