「国民の手取りは増やさない」石破首相と維新が下した最悪の決断。なぜそうなる!? 現役世代への裏切り、代償は高くつくか

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「年収103万円の壁」を178万円に引き上げるよう求め、25年度予算案に賛成しない方針で自民党を揺さぶってきた国民民主党。だが、どうしても現役世代の手取り収入を増やしたくないとみえる石破首相は、国民民主を袖にして維新と組む道を選んだ。これに関して「石破首相は危険な賭けに出た」とみるのは元全国紙社会部記者の新 恭氏。自民党内からも国民民主に同調する声が出ており、夏の参院選にむけて「石破おろし」の動きが活発化する可能性があると指摘する。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:維新と組み国民の減税策を袖にした石破首相。積極財政派から不穏な動き

国民民主党を鼻であしらい、ほっと一息の石破首相

「年収103万円の壁」についての自民党、公明党、国民民主党の話し合いは、与党側がタイムリミットとする2月26日の会合でもまとまることはなかった。

このままだと、国民民主党は25年度予算案に反対する可能性が高いが、「高校授業料無償化」で自公と合意した日本維新の会が賛成に回る見込みだ。ほぼ年度内の予算成立にめどがついた石破首相は、ほっと一息といったところだろう。

しかし、財源が比較的少なくて済むとはいえ党勢が低迷している維新の政策を選び、昨年の衆議院選で躍進しその後も高い政党支持率を保っている国民民主を袖にしたことが、今後の政局や夏の参議院選に影響を及ぼすのは避けられない。

現に、アンチ石破色を強める党内の積極財政派から不満の声が上がり、キナ臭い空気も漂い始めた。

期待外れにもほどがあった公明党の妥協案

「年収103万円の壁」で、与党側が国民民主党の求める「178万円」にどれだけ歩み寄ることができるかのカギを握っていたのは公明党だった。

自民党の宮澤税調が所得制限付きの減税案を提案した2月18日、公明党はそれに納得せず「年収制限をなくすかたちで良い知恵がないか検討したい」と、所得制限撤廃に前向きの姿勢を示した。

ところが、21日に公明党が出してきた案は期待外れというほかない内容だった。

年収上限は自民党案の500万円から850万円に引き上げるが、課税最低限(非課税枠)は4段階に区分されており、さらに複雑さを加えていた。たとえば「665万円超~850万円以下」の課税最低限は128万円で、自民党の当初案123万円とほとんど変わらない

公明党もまた財務省に屈した

要するに、公明党が財務省に屈したということだろう。公明党が独自案を作成する動きを感じ取った財務省は即座に“御説明”という名の“誘導”に馳せ参じたに違いない。

経済の専門家でさえ財務省の“御説明”を真に受け、「プライマリーバランス」とやらを信仰しているのである。公明党幹部に財務省に抵抗できるだけの知識があろうはずがない。そこから生み出されたものが、自民党案と変わり映えがしないのもうなずける。

公明党案を持ち帰って検討した国民民主党は25日、「所得制限があるのはおかしい」と拒絶の意思を示した。26日の会合でも、与党側は公明党案を示したまま一歩も譲ることはなかった。

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