東京株1502円安、日米株価は年央にかけて再度の下落局面へ。トランプ関税で“今さら”日経平均が急落した理由(馬渕治好氏)

 

【中長期シナリオ結論】(2025/3/16時点)

(毎号最後に掲載します。変える必要がないと考えている間は、まったく変えません。)

1)「当面」(2025年央まで)の展望

米株価や米ドル相場は、トランプ関税の悪影響も含めた米経済の悪化を、実際の経済指標や米企業収益で確認し、年央までに再度下押しするものと懸念する。特に米国株は企業収益に対して買われ過ぎの様相が強い。

ただし米景気の悪化は、「〇〇危機」などと称されるような深刻なものにはなりがたいと見込む。仮に景気の状況が深刻化するのであれば、米連銀による利下げの積極化や量的緩和の再開など、金融面から打つ手はある。

このため、今後のS&P500指数の安値は、3/13(木)につけたザラ場安値5504.65ポイントを下抜けることはありうるが、大きくは下抜けないと予想する。

日経平均は、やはりいったん米株安や米ドル安に引きずられて、年央より前に下押しするだろう。ただし日本株の下落材料は米国発であり、日本株は企業収益対比で割高感は薄い。トランプ政権の失策により、グローバルな投資家が資金を米国株から他国株(日本や欧州など)に逃避させる動きも進むと判断する。このため、日経平均がこれから下押ししても、3/11(火)のザラ場最安値35987.13円を割り込む公算は小さいと予想する。

2)2025年末にかけての展望

2025年末にかけては、世界経済の持ち直しに沿って、世界株価や外貨相場(対円)は、強含み基調をたどろう。ただし地政学的リスク・世界政治リスクを含め、内外で不透明要因は多く、相場の「基調」はなだらかなものを見込む。たとえば日経平均の4万円超え「定着」は、2025年後半となるだろう。

なお、実際の市況は、こうしたなだらかな持ち直し基調の上下に、短期的に大きく振れ続けると予想する。

3)数年単位の展望

長期的にも、世界経済の拡大基調と世界株価の上昇を、予想する。

4)長期的な視点からの投資家への提言

投資家は、長期的な展望を抱いて、着実にリスク資産への投資を積み上げていくべきだろう。市況が下落すれば買う、下落しなくてもあきらめてある程度買う、逆に大きく市況が崩れても狼狽売りしない、という姿勢が望ましい(あくまでも市場の全体論であり、個別銘柄についての話ではない)。

これからも短期的な市況の変動は激しいと見込まれ、そうした市況の振れに投資方針を惑わされないことが肝要だ。

※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2025年3月30日号の一部抜粋です。「米ドルの実効為替レートからみた世界的な資金の動き」や「日銀短観」に関する解説を含む全文は、初月無料のお試し購読ですぐにご覧いただけます。

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1977年東京教育大学(現:筑波大学)附属高等学校卒業、1981年東京大学理学部数学科卒業、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。1981年に(旧)日興証券入社。1986~88年は2年間休職し、米国留学。他の期間は、ほとんど調査関連諸部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月より、独立した形で経済・市場分析業務を行なっている。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。テレビ・ラジオ出演も数多い。CFA協会認定証券アナリスト(CFA、Chartered Financial Analyst)

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