【今週展望】米雇用統計が注目されようが、雇用の悪化は3月分というより4月分で本格化か
まとめ
今週は、毎月恒例の、米国の主要な経済統計の発表週に当たります。そのなかでも米雇用統計の発表が注目されるでしょうが、3月分の雇用統計に関税引き上げの影響が如実に表れる、というのは早すぎると判断します。
トランプ政権の関税引き上げについては、4/2(水)に公表される可能性がある相互関税が、具体的にどういう形になるかが、市場に波乱を引き起こしそうです。
今週の世界の株価は、引き続き関税引き上げの影響などについて、何となくの不安を抱きながらも、方向は下向きだと懸念します。
詳細
今週は、日米で経済統計の発表が注目されます。
日本では、3/31(月)に、2月の鉱工業生産が発表されます。1月分は前月比で1.1%減少しましたが、2月は既に公表されている輸出数量が回復していることから、同月の鉱工業生産も2.0%増加すると予想されています。
4/1(火)には、日銀短観が公表されます(後の「理解の種」の解説もご参照ください)。最も注目度が高い、大企業の業況判断DIについては、製造業が前回調査の14から12に悪化すると見込まれている一方、非製造業は相対的に堅調で前回調査の33から横ばいだと予想されています。
日本の株式市場においても、当面は米国での関税引き上げや米ドル安・円高など輸出製造業には逆風が多く、どちらかといえば内需株が選好されると見込みます。
米国のマクロ経済統計では、4/1(火)にISM製造業指数、4/2(水)にADP雇用統計、4/3(木)にISM非製造業指数、4/4(金)に雇用統計が発表予定です(以上はすべて3月分の統計)。
米株式市場などは、「ソフトデータ(心理を測るデータ)の悪化はもうわかった、今度はそれによってハードデータ(実際の経済活動を測るデータ)がどのくらい悪くなるかだ」という段階に入っていると推察されますので、今週の経済統計のなかでは、週末の雇用統計が最も注目されるでしょう。
非農業部門雇用者数前月比は、2月の15.1万人増から、3月は13.5万人増に、若干減速すると予想されています。ただ、公務員の解雇や関税引き上げの影響が雇用に如実に表れるには、3月はまだ早いと考えられるため、今週の雇用統計が米株価や米ドル相場を一気に動かす、という展開にはなりにくいと判断します。
また米国のさらなる関税引き上げ策については、トランプ大統領が「相互関税が4/2(水)に公表される」と語っていますが、これは4/2(水)から関税が実施されるということなのか、それとも実施はまだ先で当日は方針の発表だけなのか、不透明です。
また、相互関税については大統領は「寛大なものになる」とも述べたものの、具体的に何にどの程度の関税をかけるかは、予断を許しません。このため、相互関税の発表を受けて、市場が上にも下にも振れる可能性があります。
すると、内外株価や為替市場は、短期的に上下動しながらも、関税引き上げが経済に対する悪影響を反映して、基調としては株安・円高に向かう、という方向だと懸念します。(次ページに続く)