中国、ロシア、米国が“喉から手が出る”ほど欲しい「国」の名前

 

グリーンランドには石油、レアアースなどの豊富な鉱物資源があります。しかしそれは開発されていません。目を付けたのが中国です。

グリーンランドのレアアース開発に協力するというのです。

米国大手情報サービス会社ブルームバーグは、「グリーンランドで独立を目指す動き-中国資本活用計画が背景」と2013年に報じています。

グリーンランド側も乗り気で、中国の労働力と資本を活用する計画でした。しかしデンマークが反対しました。それでさらにグリーンランドの独立運動が盛り上がりました。

ロシアも加わります。

2017年、習近平主席はプーチン大統領との会談の中で「一帯一路」を北極圏まで繋げる構想を提示しました。そして両国は北極海航路開発における協力推進に合意しました。

対抗してトランプ大統領は2019年8月にグリーンランドの購入について「戦略的に興味深い」と発言しました。

しかしデンマーク首相のメッテ・フレデリクセンは「グリーンランドは売り物ではない」として拒否しました。

バイデン政権下で米国は引きます。

2021年5月国務長官アントニー・ブリンケンは、アメリカがグリーンランドを購入するつもりがないことを明言しました。

しかし再選されたトランプ氏はグリーンランドの米国所有についてまた発言を始めました。

米国はグリーンランドにミサイル防衛基地を維持しています。この基地は、トランプ氏が力をいれているミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」の一部となる可能性もあります。

全米の防衛の観点からもグリーンランドは需要なのです。

今年2025年の1月にはグリーンランドのムテ・エーエデ自治政府首相がデンマークからの独立を目指す方針を表明しています。

簡単に言うと、グリーンランドは中国・ロシア・米国にとっての地政学的に重要で、かつ最近はその重要性がさらに増しているのです。

その状況でグリーンランド自治政府がデンマークからの独立を目指すと表明しているのです。

で、大きな綱引きがあるのです。

確かにトランプ大統領の発言はとんでもないです。住民もいる状況で「領土を買う」のは考えられません。まして武力で侵攻するなんてとんでもない事です。

しかし、このような大きな枠組みを理解すると、トランプ大統領が今グリーンランドについての発言を繰り返すのも分かるでしょう。

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・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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