そもそも「コンプライアンス宣言」とはいかなるものか
教団が会見で説明した2009年のコンプライアンス宣言は次のようなものです。
- 民事裁判で問題にされたような献金と先祖の因縁を殊更に結びつける、または威迫・困惑を伴う献金の奨励や勧誘したりする行為をしてはならない。
- 信者への献金の奨励や勧誘行為はあくまでも信者本人の信仰に基づく自主性及び自由意思を尊重し、信者の経済状態に比して過度な献金とならないよう、十分配慮しなければならない。
しかしこれらが守られていない実態が浮き彫りになったわけです。
しかしすでに、国会内で行われた旧統一教会問題のヒアリングのなかでも、コンプラインス宣言後に高額献金の勧誘を上から指示されていた悪質な事実が明かされて、私自身、絶句した覚えがあります。
繰り返された通常の宗教団体とはいえない悪質な行為
70代のAさんは、平成26(2014)年に統一教会とかかわり、昨年の11月に脱会していますが、献金や物品購入で2,500万円以上を払い、被害に遭っています。
2,000万円以上の献金をさせられた後のことです。
Aさんは教団の婦人部長に「先祖解怨のためのお金がない」と話したところ、息子さんのお金の状況を聞かれます。
「『息子名義の定期預金はあるが、私には下せない』と答えると、婦人部長は『統一教会の男性に委任状を書いてもらえばよい』と指示してきました。私は息子の定期預金を、しかも無断で他人に委任状を書いてもらうことまでして、先祖解怨のお金を用立てなければならないことに、良心の呵責と罪悪感を覚えましたが、家庭が幸せになるためには、先祖の因縁を解決しなければならないといわれ続けてきたので、そうするしかないと思って、婦人部長の指図に従うしかありませんでした」とAさんは、当時の辛い胸の内を語ります。
そして「息子のお金を無断で(統一教会に献金したことは)息子に本当に申し訳ないことをしたと思っています。脱会後、息子には正直に話して謝りました」とAさんは言葉を詰まらせます。
高齢の女性にこのような行為を要請するなど、通常の宗教団体とはいえない悪質な行為です。
70代女性は2014年に入信していますので、コンプライアンス宣言から、かなりたってから行われた行為です。
絵にかいた餅に過ぎなかった教団のコンプライアンス宣言
「統一教会の信者に委任状を書いてもらえばよい」との言葉のどこにコンプライアンス宣言の遵守があるのでしょうか。
しかも、2022年に社会に高額献金などの被害実態が明らかになるまで、明らかにせず、何も対応しようとしない。あわよくば、こうした被害を闇に葬ろうとする姿勢すら感じてしまいます。コンプライアンス宣言が、いかに絵にかいた餅であるかをものがたっています。
おそらく、A子さんのような事例は、全国で起きていたはずです。その被害が約9億円以上という数字になって表れてきています。
解散命令の決定のなかで「継続性」と思われるの点についての言及もあります。
コンプラインス宣言以降も「宣言以降も根本的な対策をせず、不十分な対応に終始している。解散命令は必要かつやむを得ない」としています。
これは、当然の判断であり、教団側は「国家による、信教の自由への侵害だ」と主張をしていますが、信教の自由があれば、このような不法行為は許されるというのでしょうか。まったく的外れな主張に聞こえています。
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