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土下座して米国製の兵器を大量購入か?石破首相が自称“アメリカ国王”トランプに関税を「引き下げていただく」確実な方法

トランプ大統領がぶち上げた理不尽とも言うべき関税措置に、大混乱の様相を呈している国際社会。24%もの関税を課される日本も例外ではありませんが、政府は有効な打開策を見出すに至っていないのが現状です。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、トランプ氏相手に常識的な外交術は通用しないと断言。その上で、石破首相が交渉の席で口にすべき具体的な内容を提示しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ドナルド・トランプの取扱説明書

取り扱い注意。トランプ操作マニュアル

たった1人の「大きな幼稚園児」のせいで、世界中がテンヤワンヤになっている「トランプ関税騒動」ですが、日本も日経平均株価が過去3番目の大幅下落を記録するなど、施行される前から影響が出始めています。そして、多くの国々がソッコーで報復関税を発表したり、水面下でアメリカと交渉を始めたりしているのに、24%という法外な関税をふっかけられた日本はというと、リーダーの石破茂首相は自分の10万円の商品券の問題と大阪万博の宣伝に飛び回り、外交どころではないご様子。

そんな浮世離れした石破首相も、一応は国内向けに「極めて不本意で極めて遺憾」などと耳タコのフレーズを垂れ流しました。しかし、これは北朝鮮がミサイルを発射するたびに、安倍晋三首相以降、歴代首相から聞かされて来た「特に何もしません」という意味の言葉です。そして、その言葉通りに、石破首相はこれまで「トランプ関税」への対策を何もして来ませんでした。

国会で野党から「トランプ関税」への対応を聞かれても、石破首相は「倍返しみたいなことになると、めちゃくちゃになる。売り言葉に買い言葉のようなことをするつもりはない」と答え、報復関税には否定的な姿勢を続けて来ました。しかし、それならそれで「日本は報復関税は行なわない」ということをトランプ大統領に伝えたのかと言えば、それはしていません。ようするに日本の中でゴニョゴニョ言っているだけだったのです。

しかし、この「何もしない姿勢」によって内閣支持率は下がり続け、世論調査でも「対抗措置を取るべきだ」が57%に達すると、石破首相は大慌てで「トランプ大統領との電話協議を模索している」などと言い出しました。そして、日本時間の7日、完全に周回遅れでトランプ大統領との電話会談を行なったのです。でも、その時間はわずか25分間、石破首相は英語が話せませんから、挨拶を除くと実質的なやり取りは10分もなかったと思います。この電話会談の内容について、石破首相は次のように述べました。

「トランプ大統領からは国際経済においてアメリカが現在置かれている状況について率直な認識が示された。わが国としては協議を通じてアメリカに対し措置の見直しを強く求めて行く」

つまり、向こうの言いぶんを聞いただけで、こちらの言いぶんは今後の協議で述べて行くという完全なる「ガキの使い」です。石破首相は「日米双方で担当閣僚を指名して協議を続けることで一致した」などと、あたかも一定の前進があったかのように述べましたが「双方で担当者を決めて協議を続けて行きましょう」ということを伝えるだけなら、何も首脳同士が時間を割く必要などなかったのです。外相会談で十分でしょう。わざわざ大将が出張って行ってこのアリサマとは、サスガは「外交初心者マーク」の石破首相です。

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自身のSNSにも日本への不満を投稿したトランプ

一方のトランプ大統領は、この電話会談の直後、記者団に次のように述べました。

「今朝、日本の首相と話をした。非常に良い会談だった。私は彼にこう言った。『君たちは自国を開放しなければならない』と。何故なら、我々は日本で車を1台も売っていないからだ。ゼロなのだ。しかし、彼らは我々の国で何百万台もの車を売っている」

このトランプ大統領の発言について、アメ車が大好きな所ジョージさんやIKURAちゃんのコメントが欲しいとこですが、日本人がアメ車を1台も買ってないという噴飯物のイチャモン、相変わらずのトランプ節ですね(笑)。そしてトランプ大統領は、自身のSNSにも日本への不満を投稿しました。

「今、世界中の国々が我々と話をしようとしている。(我々が提示した関税は)厳しいが公平な条件が設定されている。今朝、日本の首相と話した。彼は交渉のためにトップチームを送って来ると言った!彼らは貿易に関してこれまでアメリカをたいへん酷く扱って来た。彼らはアメリカの車を買わないが、我々は日本の車を何百万台も買って来た。農産物や他の物も同様だ。すべてを変える必要がある。特に中国だ!!」

石破首相は「日米双方で担当閣僚を指名して協議を続けることで一致した」などと述べましたが、このトランプ大統領の「彼は交渉のためにトップチームを送って来ると言った!」というビックリマークまで付けた怒りのフレーズからは「日本がケンカを売って来た!」というニュアンスしか感じられません。

さらに言えば、日本側はこれから担当閣僚を決めるという「のんびりモード」で会談に臨みましたが、アメリカ側は電話会談の直後に、スコット・ベッセント財務長官と米通商代表部のジェミソン・グリア代表が日本との協議を担当すると発表しました。そして、そのベッセント財務長官は「すでに50カ国以上が交渉に来ている」と述べ、日本に対して遠回しに「今ごろ何しに来たの?」的な態度を示したのです。

このアメリカ側の早業に焦った石破首相は、翌8日の午後には担当閣僚を赤沢亮正経済財政・再生相に決めましたが、これって他の派閥の閣僚は誰もやりたがらないから、仕方なく自分の「石破グループ」から適当に選んだってだけの話でしょ?そもそも外交経験ゼロで畑違いの元運輸官僚に、一体何ができると言うのでしょうか?

今の自民党のメンツでトランプ政権との交渉ができそうなのって、安倍政権下で第1期トランプ政権と交渉した茂木敏充元外相くらいしか見当たらないですが、安倍関連に手柄など取らせたくない石破首相ですから、茂木元外相のことは確信犯的にスルーしたのでしょう。そして、その挙句が同じ鳥取選挙区の赤沢亮正経済財政・再生相って、ようするに「国益より自分のプライド」という呆れ返る人選。

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「シゲル、お前もシンゾーのように俺の忠実な飼犬になれよ」

それにしても、やることなすことピント外れの石破首相、口をひらけば「日本は米国への最大の投資国だ。多くの雇用も生み出して来た。今後も粘り強く日本の投資実績や雇用創出実績を説明し、関税措置の見直しに理解を得たい」などと繰り返していますが、相手はあのトランプ大統領ですよ?一度言って理解されないことは何度言っても同じです。アメリカに造った日本の自動車メーカーの工場で何千人のアメリカ人が働いていようとも、トランプ大統領にしてみれば「その車を俺様の国で売って金儲けしてるのは日本のメーカーだろ?」という理屈なのです。

日本の車がアメリカでたくさん売れているのは、アメリカの消費者のニーズに合わせた企業努力の結果です。そして、日本でアメ車が売れないのは、日本の消費者のニーズに合わないからです。アメリカのものでも、映画や音楽など日本人のニーズに合うものは、日本でもアメリカと同じように売れているのです。こんな常識は子どもでも分かるはずですが、常識が通用するのは常識を持った人たちだけです。トランプ大統領という非常識の極みには、常識などハナから通用しないのです。

今回の電話会談からちょうど2カ月前の2月7日、石破首相は訪米してトランプ大統領と対面での初の首脳会談を行ないました。会談後の共同会見で終始ゴキゲンだったトランプ大統領は、目の前にいる石破首相ではなく、まずは安倍晋三元首相のことを称賛しまくりました。ま、これは故人に対する礼儀という一面もあったと思いますが、安倍元首相を称賛してからの「日本から来てくれた新しい首相も、シンゾーと同じくらいにいい男だ」という紹介の言葉に、あたしはある「含み」を感じました。

それは「シゲル、お前もシンゾーのように俺の忠実な飼犬になれよ。日本はカナダと同じくアメリカの属国だということを決して忘れるな」という「含み」です。何故なら、直前の首脳会談で、石破首相は日本の対米投資を1兆ドル(約150兆円)に引き上げるというお土産を伝えていたからです。これを受けてトランプ大統領は「日本は首相が代わっても何も変わらないな」と理解したと思います。

こうしたトランプ大統領の思考回路と人間性を考えれば、トランプ大統領が日本に提示した「24%」という関税の「見直し」を求めようとする石破首相の方針は「飼犬のくせに飼主に噛みつくのか?」ということになるわけです。そして「シンゾーは俺の言うことには絶対に逆らわなかったのに…」と思ったトランプ大統領は、自身のSNSに「彼は交渉のためにトップチームを送って来ると言った!」と綴ったのです。

石破首相との初の首脳会談から1週間後の2月20日、ニューヨークの「渋滞税」を廃止する大統領令に署名したトランプ大統領は、ホワイトハウスの公式ツイッター(現・X)に、金色の王冠を頭に乗せた自身のイラストを投稿し、「渋滞税は死んだ。これでマンハッタンとニューヨークのすべてが救われた。国王万歳!」と投稿しました。この人は自分のことを「アメリカ大統領」ではなく「アメリカ国王」だと思っていたのです。まるで実写版『裸の王様』です。

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アメリカを褒められると自分が褒められたように喜ぶトランプ

こんな人を相手にして、マトモな交渉などできるわけがありません。それも、日本は「属国」だと思われているのですから、日本の首相はトランプ大統領の忠実な飼犬に成りきり、どこまでも徹底的に下手(したて)に出て、常にゴキゲンを取りながら、与えられた条件の中で最善を目指すしかないのです。安倍晋三元首相のように。

それなら具体的にどうすれば良いのか?それは簡単です。トランプ大統領は「アメリカは日本のものをたくさん買ってやってるのに、日本はアメリカのものを買わない」と思い込んでおり、それが不平等だと言っています。この勘違いに正論で対抗しても火に油になってしまうので、ここは「日本もアメリカのものをたくさん買っている」ということをアピールするのです。つまり、石破首相は、こう言えば良いのです。

「トランプ大統領閣下!いや、トランプ国王!安倍政権下でトランプ国王から命じられた『防衛費の大幅引き上げ』は、私の前任の岸田文雄首相が国民を無視して閣議決定だけで決めました。そして、こちらも閣議決定だけで、2027年度までの5年間の防衛費を43兆円にまで引き上げました。これで安倍元首相がトランプ国王にお約束したアメリカ製の優秀な武器兵器を大量購入する準備が整いました。しかし、今の日本は財政難でして、この防衛費の財源がないため、国民の反対を押し切って増税するしか道がないのです。

このような状況なので、24%という関税が課せられてしまっては、ますますアメリカ製の優秀な武器兵器の大量購入が遠ざかってしまいます。我々には偉大なるアメリカ合衆国の『アジアの防波堤』として、アメリカ製の優秀な武器兵器が大量に必要なのです。トランプ国王!ここはひとつ、アメリカ製の優秀な武器兵器の大量購入のために、どうか関税を引き下げてはいただけないでしょうか?」

ポイントとしては、いちいち「アメリカ製の優秀な武器兵器」と言うことです。そして「アメリカ合衆国」には「偉大なる」という冠詞が必須です。あのバカ…じゃなくて、ドナルド・トランプ大統領は、アメリカを褒められると自分が褒められたように喜ぶのです。何しろ自称「国王」なのですから(笑)。

(『きっこのメルマガ』2025年4月9日号より一部抜粋・文中敬称略)

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