中国人捕虜がロシア軍のニセ募集広告に騙された背景
もうひとりの張仁波氏(27歳)は、もともとは上海の消防士で、昨年12月に「休暇」でロシアに行ったと主張しました。休暇中に小遣いを稼ぎたかった彼は、紹介者に建設作業を手配すると言われたものの、まさかその仕事が紛争地帯で行われるとは思わず、このような形で騙されて戦地に赴いたといいます。
張仁波氏は、1月初めにロシアのロストフに連れて行かれ、6日間ほど訓練を受けた後、ウドンのドネツクに送られ、3月31日まで1発も発砲することなく約1カ月間塹壕にいたが、他の2人の兵士とともに前線への出撃を命じられ、数日で捕虜になったといいます。
2人はまた、外国人家事手伝いのためのロシア軍キャンプでの過酷な状況についても語ったそうです。水も電気もない生活、一日一食の食事、指揮官の監視の下、いたるところにロシア軍の見張り兵がいる中で行われる訓練から逃れるチャンスはなかったとのこと。
朝4時か5時まで働いたこともあり、その時は、一握りの生米を食べさせられたそうです。ロストフでは、外国人が夜中に自殺した事件もあったとのこと。
彼らは中国政府の関与は否定しました。ただし、張仁波氏は、
「中国メディアや官製メディアは常に中国とロシアの友好を強調しており、だからこそ我々は常にロシアを信頼してきたが、この信頼のために我々は利用された。この信頼のために、私たちは利用されたのです」
と批判しており、中国国内で中国政府がロシアとの蜜月関係を強調していることが、中国人が騙される背景にあるようです。
現在、約155人の中国人がロシアのウクライナ侵攻に協力していると言われています。
張仁波氏と王広軍氏は、中国政府が彼らの投獄に対して、自由を求めてウクライナと交渉することを望むとともに、中国人が戦争に参加しないよう強く求めています。また彼らは、「ロシアはロシアが言うほど強くはないし、ウクライナもロシアが言うほど弱くはない」と語っています。
はたして、ロシアとの蜜月関係をアピールしている中国政府や習近平は、この中国人捕虜を保護するのでしょうか。あれほど中露の親密さを演出していたのに、ロシアに自国民がいいように騙されたということになると、中国のメンツは丸つぶれです。
中国がよくやるように、捕まった中国人のことは「いなかったこと」として、無視する可能性も大きいでしょう。
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