まさかの世論反発に「現金給付」案を引っ込めた自民党
現金給付に対する世間の芳しくない反応を受けて、石破官邸や自公幹部の言動に変化が見られたのか、同じ読売新聞が11日にはこんな記事を出した。
《与党が夏の参院選を意識し、物価高と米国との関税問題への対策として、消費税減税や現金給付を行うべきだと政府に圧力を強めている。》
明らかな軌道修正である。野党だけでなく、自民党内でも旧安倍派を中心に消費税の減税を求める声が強い。支持率アップを必死に狙う石破首相はそれに応えたい気がないではない。だが、財務省のくびきから逃れられない森山幹事長ら党幹部が懸念を示し、「現金給付」に傾いている。今のところ「消費税減税」と「現金給付」を並立させておくしかない。そのような印象を抱かせる記事だった。
メディアの報じ方は、さらに変化してゆく。産経新聞(11日)の記事は「消費税減税」「現金給付」の折衷案のようなものになった。
《自民、公明の与党は、物価高を受けた経済対策として、食料品を対象にした時限的な消費税減税の検討に入った。減税実現には法改正などで時間がかかるため、「つなぎ」の措置として国民一律の現金給付も行う方針で、政府に要求する。》
消費税減税の「検討」には入ったが、時間がかかるので「つなぎ」の現金給付を行うというわけだ。参院選を乗り切るための“おとり”として、いずれ消費税減税をやるように見せかけ、結局は「現金給付」で国民の気を引く戦略かと思われた。
しばらくの間、各メディアは、物価高対策のため補正予算案を組む方針の石破首相が「消費税減税」をとるのか、「現金給付」を選ぶのかという報道に明け暮れた。









