「現金給付ではなく消費税減税」の可能性は残っているが…
ところが、である。15日になって、情勢は急転回する。その朝、テレビ朝日政治部官邸キャップの千々岩森生氏が「羽鳥慎一モーニングショー」に出演して、こう話した。
「現金給付は一気にしぼみました。3万とか5万とかいろんな案が出ていたが、今は減税と、それからもう少し違う対策があるんじゃないかというふうにシフトしている」
そして15日夜。「政府、与党は経済対策を念頭に置いた2025年度補正予算案について、今国会の提出を見送る方向で調整に入った」(毎日新聞)など、現金給付見送りを意味する記事が配信されるにおよび、ブレまくった一連の現金給付報道はほぼ終息した。
自民党内で補正予算編成への期待が膨らんでいるにもかかわらず見送りの方向となったことについて、今国会の会期末まで2か月余りしかなく、野党の協力を得ようと思えば政策要求を次々とのまされる懸念があるからというが、本当のところはどうなのか。いずれにせよ、政権運営が迷走している感は否めない。
ただし、ここで重要なのは「消費税減税」の可能性がまだ消えていないことだ。選挙が迫る参院を中心に減税を求める声は与野党ともに強い。とりわけ与党・公明党は減税に積極的だ。
当メルマガ先週号でもふれたように、米国のトランプ大統領は消費税を「非関税障壁」とみなし、相互関税をかける根拠としている。ならば、消費税減税を外交カードとして切り、景気浮揚と国民生活の安定をはかればいいという考えにいたるのはごく自然であり、理に適っている。
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だが、硬直化したプライマリーバランス論に縛りつけられている石破政権が柔軟な対応力に欠けているのも事実だ。なにより森山幹事長が財務省の言いなりになっているのが痛い。









