食料自給率を下げる売国的減反政策を主導してきた江藤農水相
昨年8月、突如として各地のスーパーなどの店頭からお米が消えるという異変が起こり、全国の消費者から早急の対応を求められた岸田政権の坂本哲志農林水産相は、お米が消えた原因を「南海トラフ地震の注意報が出されたことにより全国の消費者が一斉に米を多めに購入したため」とアサッテな説明をした挙句、「9月になれば新米が出始めるので問題は解消される」などと無責任なことを述べたのです。
そして、何の対策もしないまま、岸田文雄首相から石破茂首相へと政権がバトンタッチされ、自民党の小里泰弘衆議院議員が農水相に任命されましたが「新米が出回れば問題は解消される」という岸田政権の主張を踏襲し、引き続き何の対策もしませんでした。その上、公約を反故にした解散総選挙で大幅に議席を減らした石破政権は、次の江藤拓農水相も、すでに各方面から声が挙がり始めていた「備蓄米の放出」に、当初は否定的でした。
しかし、昨年12月には夏から4カ月連続でお米の小売価格が過去最高を更新し続け、他の食品や日用品の値上がり、電気やガスやガソリンなどの値上がりも相まって、消費者の間からは悲鳴が出始めました。年が明ければドナルド・トランプ氏が米大統領に就任するため、日本に何を言って来るか予測不能です。国内の問題はなるべく早めに手を打っておかなければなりません。そこで石破首相は「備蓄米の放出」も視野に入れた対策と原因究明を江藤農水相に指示したのです。
年が明けた1月、江藤農水相は「新米が出回れば市場が落ち着くとの見通しを持っていたが、今年に入っても高い状況が続くのではないかとの予測もある」と、これまでの主張を微妙に修正し始めました。そして「備蓄米を放出して米の価格を国がコントロールすることは王道ではない。価格は市場で決まるべきものだ」とモットモらしいことを述べつつも、水面下では「備蓄米の放出」に向けた準備を始めたのです。
でも、それと同時に江藤農水相は、備蓄米を放出したところでお米の小売価格が下がるなどとは思っていませんでした。何故なら、江藤農水相は2019年の最後の安倍内閣で、農水相として初入閣し、安倍政権が進めて来た日本の食料自給率を下げるための売国政策「減反政策」を主導して来た人物だからです。
安倍晋三首相は2018年、「減反政策の廃止」を掲げましたが、これは完全に国民を騙すための詐欺でした。一応は米農家に対する「生産数量目標」の通知を廃止しましたが、その一方で、それまでお米を作っていた田んぼを家畜の飼料用米や麦などへ転作した場合の補助金を拡充したのです。つまり、それまでは政府が米の生産量を決めることで減反を進めて来ましたが、今後は「カネが欲しい奴は自主的に減反しろ」という卑劣な方式に変更したのです。そして、その「実質的な減反政策」が6年続いた結果が「今」なのです。
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