財務省に愛された男(2) 野田佳彦氏の場合
菅氏のあとを継いで首相となった野田佳彦氏もまた、財務省副大臣、財務相を経てすっかり財務省の色に染まっていた。
2012年6月、「社会保障と税の一体改革」の名のもとに民主党、自民党、公明党の三党が合意し、消費税率を引き上げる法案が可決成立した。現在の消費税率10%はこの法律をもとに、安倍政権が二段階に分けて引き上げたものだ。
下記は、拙著「小沢一郎の死闘1500日」(Kindle 版)のうち、消費増税に反対した小沢一郎氏と野田首相の闘いを記録した一節である。
野田は党内の反対派に見切りをつけ、水面下で自民党の財務大臣経験者に電話をかけまくった。伊吹文明、額賀福志郎、谷垣禎一・・・そして森喜朗もからんだ。・・・良好な関係を保っている森に、日ロ外交について指南をあおいでいるうち、いつの間にか野田-森のホットラインができあがっていた・・・6月19日夜(2012年)の民主党合同会議は大荒れになった。・・・ 野田は消費増税法案の採決に突き進んだ。・・・小沢は野田の意思を感じていただろう。政権中枢があきらかに自分たちを邪魔者として切り捨てようとしている
党議拘束を無視して消費増税法案に反対すれば離党せざるを得ないことになる。それは自公の民主党分断策に乗ることを意味する。それでも小沢氏を中心とするグループは消費増税法案に反対票を投じることを決めた。
衆院におけるこの法案への民主党の反対票は57人、欠席・棄権が15人にもおよんだ。この行動に対し、マスコミは「決める政治を進めようとする野田首相の足を引っ張る小沢一郎」という構図を描いて、小沢悪玉論の材料とした。
この時、枝野幸男氏は野田内閣の経済産業相だった。その前は、菅政権の官房長官や民主党幹事長をつとめた。消費増税路線の重要な推進者の一人だったことは疑う余地がない。(次ページに続く)









