消費税を死守して玉砕する立憲民主党。野田佳彦・枝野幸男・菅直人「財務省に愛された男たち」15年の系譜

 

財務省に愛された男(3) 枝野幸男氏の場合

財務省にとって、最も重要なのは「緊縮と増税路線」を守ってくれる政治家をいかに確保するか、である。その観点でいえば、野田佳彦氏は“優等生”だ。

枝野幸男氏も、リベラルの衣をまといながら、財政再建とプライマリーバランス黒字化の旗を降ろさない点で、財務省と価値観を共有している。実際、官僚サイドからも「枝野さんは話が早い」との声が根強い。もちろん、この二人と財務省との近しい関係は今も続いている。

とりわけ新川浩嗣財務事務次官宇波弘貴主計局長は民主党政権時代、「社会保障と税の一体改革」に深くかかわっただけに、立憲への思い入れは強い。自公との間をつないでこの二人が大連立を画策しているのではないかという噂が出るのも、そんな背景があるからだ。

政権がどちらに転んでも、「政策ラインが生き残るように」布石を打つ。それが財務省の伝統芸だ。

枝野発言によって一気にキナ臭くなった立憲の党内情勢。野田代表は4月15日、「今の党内議論をポピュリズムとは思わない。真剣な議論をしてもらっている」と減税派に気を配り、対立の鎮静化をはかっている。枝野氏は助太刀のつもりだったかもしれないが党の結束をはかる野田氏の立場からは迷惑な面もあるだろう。

今後、消費税減税の是非について、税制調査会などの合同会議を開き、意見集約をはかったうえ、GW前にも結論を出すという。

「決まったら従う政治文化をつくりたい」

野田代表はそう語った。だがそれが、「消費税減税」という結論になったとき、はたして枝野氏は“従う”だろうか。党分裂、野党再編にむかう可能性もはらみながら、参院選前の政治情勢はますます緊迫の度を増している。

【関連】立憲・野田代表と枝野氏を論破する究極の質問。「なぜ消費税減税のとき“だけ”財源が問題になるんですか?」(作家・元国税調査官 大村大次郎)

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