日本のトヨタが中国E2E自動運転でVWに先行。この「本気」は功を奏すか?

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中国市場でE2E(エンドトゥエンド)型の自動運転車が続々と開発、発表されています。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では、AIチップメーカーとの合弁会社を立ち上げたVW、先行するトヨタなど、現在の中国でのE2E自動運転の現状について紹介しています。

VW、地平線とE2E型ADASの開発へ、トヨタがVWに初めて先行

独フォルクスワーゲン(VW)と中国AIチップメーカーである地平線(Horizon Robotics)は2025年4月7日、スマートドライビング分野における協業をさらに深めることを正式発表した。

両社は2022年に資本提携を行い、2023年には合弁会社「酷睿程(CARIZON)」を設立。

このCARIZONを中心に、VWグループの中国市場に向けたエンド・トゥ・エンド(E2E)型のスマートドライビング開発が本格始動することになる。

2026年に新開発のシステムを搭載したモデルを販売する。

VW中国のADASの内容

今回の発表でVWが採用するのは、HorizonのHSD(Horizon SuperDrive)と呼ばれる統合型スマートドライビングプラットフォーム。

これはHorizonの最新チップ「Journey 6P」を中核に、ソフト/ハードウェア統合で構築されており、都市部の複雑な交差点や園区内走行、狭路での転回といった難易度の高いシナリオにも対応可能とされる。

また、ドライバーとの信頼性を高めるための高度なHMI(ヒューマンマシンインターフェース)も統合されており、今後のVW製中国市場専用モデル「CEAアーキテクチャ車」に搭載される。

出資先のXpengに依存せず

興味深いのは、VWがすでに中国新興メーカー小鵬(Xpeng)に出資し、スマートドライビング技術でも提携の下地がある中で、あえてHorizonとの技術協業を深化させた点である。

この判断の背景には、中国市場における現地調達率の引き上げや、サプライチェーンの安定化。

そして何よりもHorizonが提供するE2E型ソリューションの「完成度とコスト効率」があると考えられる。

また、Xpengはこの分野で中国トップクラスの技術を有するとはいえ、他社に提供できるようなスキームになっていない可能性もある。

また、この分野で他社技術に依存したくないVWの思惑もあるかもしれず、後述のトヨタとは違う道を辿ることになった。

チップ性能はエヌビディアに及ばない

チップ単体の性能でいえば、HorizonのSoCはエヌビディアのOrinやThorには及ばない。

エヌビディアは最大2000TOPSの計算能力を誇り、国際的な開発環境・ツール群を整備している。

しかしHorizonは中国市場に特化し、比較的低コストでE2E型スマートドライビングの量産に最適化された設計を進めてきた。

また、CARIZONには既に500人を超える開発者が在籍し、VWとHorizonは共に「ローカルで、スピーディに」プロダクトを完成させられる体制を構築している。

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