年金のプロが疑問視。手取りを増やしたら本当に「良いことしかない」のか?

 

2.手取りを増やす事は良い面ばかりなのか。

手取りを増やすという話に戻りますが、社会保険料を引き下げる事で確かに「今」の給料の手取りは増えるでしょう。

ですが今の社会保障は主に社会保険料を財源としているので、財源が少なくなるのであれば社会保障を縮小していくしかありません。

社会保障を小さくするという事は、つまり自分の給料でなんとかしてねという事に繋がっていくわけです。

例えば医療であれば3割負担で受けれますが、それが4割とか5割負担になったり、もしくは非常に医療費がかかっても高額療養費制度というものがあって個人負担の医療費が高くなりすぎないようにされてますが、この基準が厳しくなってしまうとか。

年金だと主に年金保険料を財源としていますが、それを引き下げるような事になれば年金額が引き下がる事になります。

もし給付を引き下げないのであれば税の割合を増やすか、有限の年金積立金からのお金の拝借を多くするしかないですね。

財源が少なくなれば基本的には年金を引き下げるという形にはなるのでしょうけど、引き下げた分は生活が苦しくなるので老齢のお父さんやお母さんの生活が苦しくなります。

それを補う形で、子供が仕送りをするという形になるでしょう。一般的にはそうですよね。

僕が先ほど述べた昭和30年代は年金という社会保険は無かったか、貧弱なものだったので子供の稼ぎで暮らすしかなかったんでしたね。

その当時に逆戻りするような形になります。

社会保険料を削減して手取りは増えたけど、自己負担という形で跳ね返ってしまいました。

でも社会保障費は年金は約60兆、医療費は約46兆、介護は約20兆ほどあるから削減しないと大変な事になるよ!という声が聞こえてきそうですね。

社会保障費を考える時は絶対に「見た目(名目)の金額」で見てはいけません。

見た目の金額だけを見たらとんでもない額に映るし、これじゃあ日本ヤバイ!みたいに思って社会保障憎しの感情になってしまう人もいるでしょう。

そうすると社会保障を削減しろっていう流れになってしまうと思います。高齢者は年金貰いすぎ!みたいな感情も出てきたりするでしょう。

僕もこれだけ見たら日本という国はこんなに社会保障にお金使っているのか…と怖さを感じるかもしれません。

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