年金のプロが疑問視。手取りを増やしたら本当に「良いことしかない」のか?

 

3.少子高齢化トップレベルなのにとことん切り詰められてる社会保障費。

ですが、これを見る時はGDPに対しての割合で考えないといけない。

年金であればGDP比に対して約10%くらいで、医療費は8%くらい、介護は3%ほどとなり一気に見方が変わってしまいます。

金額だけ見るとなんとなく日本の予算は社会保障がほとんどなんじゃないかって錯覚しますが、GDP比でいったらどれも10%以下程度の低い水準で切り詰められてます。

ただでさえ切り詰めてるのが社会保障なのに、更に切り詰めれば人々の生活はより不便になっていく危険性があります。

しかしニュースではこういう面は取り上げないので、金額だけ見て社会保障憎しの感情を煽る事になる。

ちょっと脱線した例えを使うと、公務員の数なんかもそうですよね。

日本は公務員の数は世界的にも非常に少ないですが、どういうわけか日本人は「公務員が多すぎるから削減しろ!とか、給料削減しろ!」って話になっている不思議な国。

公務員の肩を持つつもりはないですが、公務員がいないと国は回らないわけであって、あまりにも切り詰めると支障が出てしまう。

なんというか人々の認識と、実際は全く異なっているのが日本なんですよね。どうしてそうなってるのかよくわかりませんが(苦笑)。

4.手取りを増やした分、余計な負担が増えるかも?

さて、多くの人は今の手取りを増やしたい!と考えるのは自然だと思います。

そりゃあ手取りが多いに越した事はないですが、それは目先の利益にしか繋がらない可能性があるという事です。

手取りが増えた!やった!と思ったら、なんか介護サービスや医療費が高くなった…失業した時の失業手当も引き下げられた、年金も引き下がったから親に仕送りしなくちゃいけなくなって手取りが増えた分、余計に支出が増えてしまった…となりかねない。

長い目で見ると損をする場面が多いのではないだろうか。

なお、この社会保険料を引き下げるという事による利益を享受するのは、なんと言っても「経済界」であります。

経済界は遠い昔から社会保険料を忌々しいものとして、引き下げを要求してきました。

なぜ経済界は社会保険料が嫌いなのでしょうか。

それは皆さんもご存知だと思うのですが、会社側が社員の社会保険料の半分を負担してるからです。

この経費が増えると収益の邪魔なので、社会保険料を引き下げろって毎回経済界との戦いでありました。

これからは社会保険料を引き上げて社会保障を充実していかなければならないという時に、経済界がそれを許さないので保険料の話になるたびに政治家に働きかけて引き上げ反対となりました。

本来必要な保険料より低いものになり、先ほどのGDP比のようにかなり切り詰めた状態で社会保障が運営されています。

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