威嚇行為は「中国への攻撃とみなす」。習近平が台湾とその“友好国”に核ミサイルを撃ち込む日

 

核兵器の使用が懸念される現在進行系の2つの案件

ただし、ここでBig Ifがつくとしたら、Non-Sate Actors、または“テロ組織”と言われる武装勢力に核兵器をはじめとする大量破壊兵器が盗まれた場合には、混乱を引き起こす目的での使用はあり得ると考えられます。

実際に2001年9月11日のアメリカに対する同時多発テロ事件が勃発した際、民間旅客機がニューヨークのツインタワーやワシントンのペンタゴンに相次いでDiveする映像を絶望と共に眺めつつ、安全保障のコミュニティが最も懸念したのは、このDiveした旅客機に大量破壊兵器が積まれているかどうかという点だったと後日聞かされました。

またISが中東地域を席巻し、テロの恐怖を欧州各地などにも拡大した最盛期には、ISが抱える科学者たちは核兵器や生物・化学兵器などを製造する知識とノウハウを有している可能性があると懸念されたため、安全保障のコミュニティは、ISの拡大を防止するという戦略に加え、放射性物質の管理の厳格化や、最悪の事態に陥った場合の即時対応策などを準備していたようです。

映画や小説になりそうなお話しではありますが、これらは常に懸念されている内容でもあります。

このような状況下においてでも核兵器の使用が懸念される案件が、現在存在するかどうかと言えば、現時点では中東地域においてイスラエルとアラブ全体がぶつかるような大戦争が勃発した場合と、現在緊張が高まる一方のインドとパキスタンの間のカシミール“紛争”が本格化した場合が考えられるのではないかと思います(核による対峙に至る可能性はかなり低いと思ってはいますが、ゼロでもないと懸念しています)。

インドとパキスタンのケースについては、両政府とも表舞台では非難合戦を繰り広げていますが、両政府とも懸念しているのが、カシミール地方における両国軍の統制が効いていない状況で、このまま軍事的な衝突が激化し、両国に多大な被害が引き起こされるような事態に発展した場合、核使用による攻撃が議論のテーブルに選択肢として挙がってくることが予想され、最終決定権者がどこまでプレッシャーに耐えられるかが問題です。

この話をニューヨークでした際、両国の高官からは「インドは恐らく耐えることができる。かなり痛みは伴うことになるだろうが、モディ首相は持ちこたえられる。心配なのはパキスタンで、ジャパーズ・シャリフ政権が、軍部からの突き上げにどこまで耐えられるかは、その権力基盤から判断すると不安だ。もし軍が政権との方針が合わないと判断した場合、これまでにもあったように、クーデーターを引き起こしかねない。その場合には、無責任な言い方になって申し訳ないが、何が起こるかわからないと懸念する」と言われました。

現時点では、まだどちらからも調停の依頼は来ておりませんが、即時対応するための準備が着々と進められています。

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