威嚇行為は「中国への攻撃とみなす」。習近平が台湾とその“友好国”に核ミサイルを撃ち込む日

 

ロシアの核兵器使用ドクトリンと同じ規則を設定する中国

では台湾情勢における中国による核兵器使用についてはどうでしょうか?

これは“ない”と言いたいところですが、中国もロシアの核兵器使用ドクトリンと同じく、自国の権益が犯され、国家安全保障上の直接的な脅威が中国にもたらされる際には、核兵器の自衛的な使用を厭わないという規則があるそうです。

台湾情勢において、地域外の国が中国本土に攻撃を加えるということはないと思われますが、中国政府の従来のポジションである“台湾は中国にとって核心的利益であり、あくまでも中国の一部”という姿勢に照らし合わせると、台湾周辺での諸外国による威嚇行為は、中国への攻撃とみなすという解釈をしかねないとの懸念を抱いています。

これが考えすぎであればいいのですが。

現在、ニューヨークにおいてNPT(核兵器不拡散条約)の会議に参加しつつ、いろいろな協議を行っていますが、国際情勢が非常に不安定化し、緊張の高まりが各地でみられる中、政治的な対立をベースに議論の中身に入れないというジレンマに直面しています。

NPTも発効から55年を迎えますが、荒れ狂う国際情勢の中で、核兵器による破壊と破滅を防ぐために国際的な協力の礎となれるかどうか、その存在意義が今、問われています。

以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。

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