「諸刃の剣」では?
では、こうした背景を踏まえた上で、小雷匠というキャラクター戦略はどのような評価を受けうるのか?
ここには「諸刃の剣」というリスクとチャンスが共存しているように見える。
第一に、ブランド構造へのインパクトである。
レクサスはこれまで、匠の技、日本的美意識、安全性と先進技術を軸に据えた高級ブランドとしての地位を確立してきた。
そこに、クマのキャラクターが踊る──このギャップは、既存の顧客やグローバル市場のブランド観にどう映るのか。
もしこの施策が中国限定とはいえ、グローバルブランドのトーンを揺るがすと判断されれば、ブランド毀損に繋がる可能性も否定できない。
想定される今後のシナリオ
第二に、効果の不確実性である。
Z世代に向けて親しみやすさを演出し、SNS上での話題化を狙ったとしても、実際に販売やブランド好感度に結びつくかは未知数だ。
たとえば、1)まったく話題にならず埋もれて終わる、2)ある程度は注目されるが、目標には届かない、3)意外なほどバズり、大成功となる、4)キャラ推しが「チープ化」と受け取られ、逆に高級感が失われる、という複数のシナリオが想定され、そのどれもが現実味を帯びている。
独資上海工場も控えて
とはいえ、2027年にも予定されるレクサスの上海独資工場稼働という大型プロジェクトを目前に控える中、ブランドの若返りと共感形成は喫緊の課題だ。
もはや“なりふり構っていられない”という判断が、キャラクター戦略という異例の選択肢を正当化したとも言える。
おそらくは日本本社の承認はあったかもしれないが、中国現地判断の施策だと思われる。
トヨタの中国化の一環かもしれないが、果たして結果はどうか。
出典: https://mp.weixin.qq.com/s/_IpQEttAdPVnVgjq022Wew
※CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。
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image by: Robert Way / Shutterstock.com