3.2024年:米が消えた背景と高騰の要因
しかし、2024年、状況は一変する。スーパーの棚から米が消え、価格は前年比1.5~2倍以上に跳ね上がった。この危機を引き起こした要因を、4つに分けて詳しく見ていこう。
(1)2023年の異常気象
まず、2023年の異常気象。夏の記録的な猛暑が、米の生育に深刻な影響を与えた。特に、米の穂が出る7~8月の高温は、米粒の内部破損や白濁を引き起こし、品質を低下させる。2023年の収穫量は約670万トンと、前年比で約5%減少した。(ニッポンドットコム)
この不作が、2024年の供給不足の直接的な原因となった。
(2)急激な需要の増加
次に、需要の急増だ。2024年、訪日外国人観光客が過去最高の3,500万人に達し、飲食店での米消費が急増。さらに、8月に発令された南海トラフ地震の暫定情報が、パニック買いを誘発。スーパーでは、米の買い占めが相次ぎ、これにより、既に逼迫していた在庫が、さらに枯渇した。(ガーディアン)
(3)農協の独占体制とホーディング
3つ目は、農協の流通支配だ。JAは、米の買い取りから販売までを一手に担い、市場の約80%をコントロールしている。
2024年の供給不足の中、JAや卸売業者が在庫を抱え込む「ホーディング」を行ったとされている。これにより、市場に出る米は少なく、高値で販売された。実際、2024年8月の小売価格は、5キロで3,000円前後に達した。(毎日)
(4)農協の価格引き上げ
最後に、JAの価格戦略です。2024年の新米について、JAは農家への買取価格を前年比20~40%引き上げた。
肥料や燃料費の高騰が理由とされたが、専門家は、需要増を見越した戦略的判断だったと指摘している。
たとえば、新潟県のコシヒカリは、60キロで2万円を超える価格に設定され、これが店頭価格の高騰に直結した。(ニュースオンジャパン)
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