6.消費者への影響と社会的波紋
米価高騰は、消費者、特に低所得者層に深刻な影響を与えた。2024年8月、5キロの米が3,000円前後に達し、食費の負担が増大。総務省の家計調査では、2024年の食料品支出が前年比10%増、特に米関連の支出が20%増と報告されている。(毎日)
社会的にも、米不足は大きな議論を呼んだ。SNSでは、「米が買えない」「農協が価格を吊り上げている」といった声が飛び交い、農協への不信感が高まった。一方、農家側は、生産コストの上昇や不作の影響を訴え、価格引き上げは不可避だったと主張。消費者と生産者の間で、対立が深まる事態となった。
7.解決策と今後の展望
この危機を乗り越えるには、どのような改革が必要だろうか。 専門家が提案する3つの解決策を見てみよう。
(1)生産量の拡大
減反政策の完全廃止が急務である。東アジアフォーラムの試算では、生産量を年間100万トン増やせば、国内需要を満たし、輸出も可能になる。農家への直接支払い、(年間約1,500億円)で、所得を保証しつつ、消費者負担を軽減することが可能だ。
(2)流通の透明化
JAの独占体制を見直し、市場競争を促進する必要がある。たとえば、農家が直接小売業者と取引できるプラットフォームの構築や、JA以外の流通ルートの拡大だ。これにより、価格の透明性が向上し、ホーディングが抑制される。
(3)消費者保護の強化
価格高騰時の緊急措置を強化する必要がある。備蓄米の放出をJAに依存せず、直接市場に供給する仕組みや、価格上限の設定などが検討されている。また、気候変動に対応した農業支援も急務だ。耐暑性品種の開発や、灌漑設備の強化が求められる。
8.まとめ、日本の食卓を守るために
2024年の米価高騰は、異常気象や需要急増だけでなく、減反政策、農協の流通支配、農水省の農家優先姿勢が重なった結果だった。
この危機は、日本の農業政策の課題を浮き彫りにし、農家と消費者のバランスを取る改革の必要性を示している。
米は日本の食文化の根幹であり、生産量の拡大、流通の透明化、消費者保護を通じて、食卓を守る新たな一歩が求められている。
■編集後記「締めの都々逸」
「最初は農家の 味方のはずが、気が付きゃ 組織の自己保身」
今回、分かったことは JAのおかげで安定していた米価が、JAのおかげで高止まりしたこと。一度でもこういう姿勢を見せたらだめですね。JAの役割は終了したと思います。
ここで提言していることを実現しましょう。米はJAのものではなく、日本人のモノですから。(坂口昌章)
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