植田日銀の一発逆転、参院選後の7月末決定会合で「利上げ再開」か?「金利のある世界」石破政権内でも抵抗感薄く

 

市場が想定するよりも早い時期に利上げ再開か

冒頭で紹介したように、植田日銀総裁は先のコンファレンスで「中心的な見通しが実現して行けば、2%の物価安定見通しを持続的に達成するためにも利上げを続ける」と発言しています。

そして日銀は前回の展望リポートで自らハードルを下げています。つまり、成長率、物価見通しをともに引き下げています。

その一方で5月の東京都区部のCPIまでの情報でも、早くも物価見通しに対して、現実の物価が上ぶれする可能性が高まっています。4月、5月のCPIは前年比で3%台後半になりそうで、最近の上昇の勢いからすると、ここからさらに加速する可能性があります。

これに対して、最新の日銀予想では25年度のコアCPIは2.2%、26年度は1.7%の予想となっています。トランプショックで成長率が低下する中で物価上昇も減速すると予想しましたが、少なくとも足元ではこれを大きく上回る上昇ペースにあります。日銀は自らハードルを引き下げましたが、そのぶん過剰達成の可能性が高まっています。

これまで日銀は実体のない、あいまいな「基調的インフレ率」を「2%に近いがまだ2%に達していない」としてきました。しかし、これに対する世間からの批判が強いことは日銀も認識しています。

次回7月の展望リポートで物価見通しを改めて上方修正し、問題の「基調的インフレ率」も2%に到達したとして利上げに出ることは可能な状況となっています。市場が想定するよりも早い時期に利上げ再開となりそうです。

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image by: 首相官邸ホームページ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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