年間24.9日の衝撃。なぜ“勤勉の国”ドイツで「病欠日数」が社会問題になるほど急増しているのか?

 

「負けたくないから必死で走り続ける」のはしんどいだけ

3年ほど前に米国で「Quiet Quitting」という言葉が、「ハッスルカルチャー(仕事を全力で頑張る文化)はもう古い。必要以上に一生懸命働くのをやめよう」との意味合いで使われ、注目を集めました。

これはまさに「働き方は二極化」の呼びかけであり、二極化の肯定と捉えられます。

日本ではQuiet Quittingを静かな退職と直訳し、「やる気のない社員」というニュアンスで使われていますが、「やる気がない=仕事をしない」わけでも「病気で休む=やる気がない」わけでもない。

ただただ「社会が評価すること」が、「私の幸せ」にはつながらないことに気づいただけ。自分がいつの間にか競争社会の一員になっていて、負けたくないから必死で走り続けるのはもうしんどいのです。競争する気もないのに、競争させられてることはもっともっとしんどいのです。

それをやめようという意思表示が「病欠」のように、私には思えます。

だいたい今、世界中で繰り広げられている競争社会では、ただ単におカネを稼ぐ能力の違いだけで、人間の価値まで選別されてしまうのはおかしい。競争に勝てなかったというだけで、人間的にもダメなように扱われてしまうことだってある。

でも、人の価値って仕事の成果で決まるもんじゃないし、仕事だけが人生じゃないのですから。競争からの離脱を否定するよりも、むしろ評価してもいいのではないでしょうか。

だってこれもアリストテレスの「中庸」ですから。

もちろん企業には雇用者を守る義務がありますから、働き方を自己責任にしないための制度設計は必要です。病欠をポジティブな効果に繋げるにも知恵が必要です。

さらにこれらは政治のあり方とも密接に関係しているので、そう簡単に「これだ!」と答えられるものではないでしょう。それでもやはり、考えるフェーズに日本も入ったほうがいいと思います。

すでに若い世代では二極化が進んでいるのですから。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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