46機が核兵器搭載可能の1955年に配備された長距離重爆撃機
《米戦略爆撃機軍団》
■B-52 ストラトフォートレス
B-52は、1955年に配備開始された長距離重爆撃機で、8,800マイル〔1万4,162km〕を給油なしで飛ぶことが出来る。B-52は、通常戦と核戦の両用の爆撃任務、攻撃的な航空反撃作戦、潜水艦監視、地雷埋設作戦などを行うことが出来る。B-52は、7万ポンド〔31.8トン〕の兵器を搭載することが出来る。
ボーイング社は744機のB-52を製造し、その最後は1962年のHモデルである。空軍としてはこのうち74機を2040年代まで寿命延長することを計画している。同機はルイジアナ州バークスデイルとノースダゴダ州ミノットの両空軍基地を母港としている。
国防総省によると、B-52のうち46機が核兵器搭載可能である。これらの核搭載可能B-52は、W80-1弾頭を装着した空中発射巡航ミサイル(ALCMs)を備えている。
空軍は前々から、年老いたALCMsを新型のより進化した「長距離スタンドオフ(敵の射程圏外から発射可能な=LRSO)」型巡航ミサイルに置き換えることを計画中である。空軍は、1,087基のミサイル購入に加えLRSO開発のための8億3,400万ドルの予算を2025年度の予算要求に盛り込んでいる。が、エネルギー省の国家核安全保障局(NNSA)は、W80の寿命を延ばしてLRSOの弾頭に使えば良いとしている。
2025年度国防権限法第1,626節は、2010年の米露の新START条約により通常戦専用に改造したB-52を核戦両用に再改造することを空軍に許可し、またLRSOの購入計画でコストが3分の1の増額になっていることについての報告を空軍に求めている。
空軍はB-52のアップグレードのための2つのプロジェクトを進めている。「B-52の民用エンジンへの置き換え計画」では8台のロールスロイスF-130エンジンを搭載した新型バージョン「B-52J」を作り出すことを追求している。同軍は、51機のB-52を2032年度までに、残り23機も2033年度までに、新型に改造することを見越している。
もう1つは「B-52のレーダー近代化計画」で、B-52のレーダーが地上や空中の動く目標を追跡できるよう更新を試験中である。データ解析の向上で超音速兵器を追跡しやすくすることになろう。(中略)
■B-1B ランサー
B-1BはB-52の後継として設計された通常戦・核戦両用の爆撃機。国防総省は、B-1Bは1986年に初期の作戦能力を達成し配備された。が、1990年代を通じて、米露START I の下でB-1Bは通常専用に改造された。
B-1Bは7万5,000ポンド〔34トン〕を積載することが出来る、米空軍が保有する最大重量の通常兵器運搬手段であり、それには一般目的と精密誘導の兵器も含まれる。
第7爆弾大隊はテキサス州ダイエス空軍基地、第28爆弾大隊はサウスダコタ州エルスワース空軍基地をそれぞれ本拠としてB-1Bを運用している。空軍は元々100機の軍団を持っていたが、今は減って45機である。
議会は、ボーイング社によって維持されているB-1の引退を制限する考え方を示してきた。また2025年度国防権限法第132節は、B-1をノースダコタ州グランドフォークス区軍基地に移すことを提示している。エルスワース基地には将来「B-21レイダー」機のための新しい滑走路が建設される。しかしB-1Bは、多様な爆撃機動任務や訓練の役割をになっている〔のでまだ引退しない〕。
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