激怒し罵倒する狂乱トランプ。空爆「大成功」に異を唱えるメディアを「クズ」呼ばわりして当たり散らす男は現代の“リア王”か?

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6月22日に行ったイランへの空爆で、標的とした同国の核施設3カ所を「完全に破壊した」と主張したトランプ大統領。「戦争嫌い」とも言われるトランプ氏は、なぜ空爆に踏み切ったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、その背景を考察。さらにこの攻撃がどれほど「法的根拠」に乏しいものであったかについて解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:トランプの「日帰りピンポイント空爆型帝国主義」の戯画/彼が大好きな米爆撃機現有“御三家”と次期機種の概説資料

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

イランに米本土を空爆されても言えない文句。トランプの「日帰りピンポイント空爆型帝国主義」の戯画

日本時間6月22日に行われた米爆撃機によるイラン原子力関連施設3カ所に対する空爆攻撃の結果について、「全てを完全に破壊した」「大成功だった」と言い張っているのは、トランプ大統領のほかはバンス副大統領、ヘグセス国防長官、ルビオ国務長官の腰巾着3人組くらいなもので、ラトクリフCIA長官でさえ「主要な核施設は破壊され、再建には数年を要する」と、暗に「完全に破壊」されてはいないことを匂わせている。

国防総省傘下の国防情報局(DIA)は、「空爆は核施設に大きな損害を与えたものの重要部分を破壊するに至っておらず、イランの核計画をわずか数カ月遅らせる効果しかなかった」との初期評価を発表、これをNYタイムズやCNNが大きく報じた。これに対しトランプは激怒しメディアを「クズ」呼ばわりして当たり散らしている。

トランプとその取り巻きの「完全に(ということは二度と立ち上がれないほど深甚なという意味だろう)破壊した」を《10》とし、26日ハメネイ師の「アメリカの攻撃は何ら重要なことを成し遂げなかった」発言を《0》とすると、ヘグセスは《9》だが、CIA長官は《8》程度。DIAは《6》ないし《5》だろう。

外部の評価はだいたいこの辺りに群がっていて、IAEA(国際原子力機関)はじめ米の老舗シンクタンク「軍備管理協会」のダリル・キンボール会長の「イラン核施設空爆で核計画は数カ月かそれ以上遅れるだろうが、〔むしろ〕イランは計画再開を決意したのではないか。軍事行動だけでイランの核知識を破壊することはできない」(6月26日付朝日)は《4》かな。

本誌が前号で引用した米カーネギー国際平和財団のジェームズ・アクトン核政策部長も「爆撃でイランの核兵器開発をやめさせることは出来ない」としてその具体的根拠を挙げていて、《4》より《3》か。

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