石破「消費税の減税はカネ持ちほど有利」の大ウソ。それ以上にズレてる自民・森山幹事長「何としても消費税を守り抜く!」の意味不明

 

自民党政権による「消えた30年」と呼ばれる悪夢の結果

たしかに「消費税法」を見ると、第1条第2項に「消費税の収入については(中略)年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と明記されています。しかし、そのように明記されていても、消費税は特別会計ではなく一般会計に組み入れられており、他の一般財源とイッショクタに扱われているのです。

本当に消費税が社会保障のために必要な税金であり、消費税による収入は1円残らずすべて社会保障のために使うと言うのなら、消費税は他の一般会計とは切り離した特別会計にして、社会保障のための目的税にすれば良いのです。そうすれば、消費税の収入がいくらで、そこから医療と介護にいくら支出した、少子化対策にいくら支出したと、その内わけもハッキリするのです。

しかし、消費税は現在まで一般会計という「大きな財布」に組み込まれていて、他の税収とゴチャマゼにされて来ました。つまり、消費税の収入が何に使われたのか、国民には何も分からないのです。たとえば、消費税の収入の一部が米国製の兵器を買うために使われていても、原発推進のために使われていても、あたしたちには分からないのです。

でも、同じ財布だからこそ分かることもあります。それは「ザックリとした概算」です。消費税は今から36年前の1989年4月に、国民の大反対を押し切って自民党政権が強行導入したものですが、導入から2014年度までの26年間の税収は、総額約282兆円となりました。

しかし、消費税と同じ財布で管理されている法人税は、この26年間に何度も減税され、税収がトータルで約255兆円も減ってしまったのです。同じ財布なのですから、ある意味、法人税の減税分を消費税で穴埋めしているような話なのです。

そして、2014年4月、当時の安倍政権は5%だった消費税を「社会保障費の不足分を補うため」という理由で8%に増税しました。安倍首相は記者の質問に答える形で「消費増税による増収分は全額を社会保障に使う」と断言しました。

その一方で安倍首相は「企業が国際競争に勝ち抜いて行くための税制改革の検討を始める」と述べ、法人税をさらに引き下げると宣言したのです。そして、法人税の減税だけでなく、企業に課せられていた復興特別税は満了時期が前倒しされて4月からゼロになり、他にも数々の企業減税が行なわれました。

そして、1年後に試算してみたところ、消費税の増収分のうち社会保障に使われたのはわずか15%ほどで、75%は法人税の減税分の穴埋めに使われていたのです。

もちろん、お金に色は付いていないので、どこからの税収が何に使われたのか、明確には分かりません。しかし、いろいろなところからお金が入って来て、いろいろなところへ出て行く「一般会計」という1つの財布の中身について1年間の家計簿を付けてみたら、消費税の増収分の大半が法人税の減税分の穴埋めに使われていたことが判明したのです。

さらには、2019年10月、同じ安倍政権下で消費税が8%から10%へ増税された時も、あれやこれやと様々な企業減税が行なわれたのです。そして、その結果、全国の庶民から薄く広く巻き上げ続けて来た消費税の大半が、法人税減税というカラクリによって自民党のスポンサー企業へと流れ込み、莫大な内部留保となったのです。

これは予想でも仮定でもなく、事実であり実際の結果なのです。森山幹事長は6月29日の講演で「政権の選択を間違っては大変なことになる」などと述べましたが、これが30年以上に渡って自民党政権を選択して来た結果であり、これこそが政権の選択を間違った結果なのではないでしょうか。

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