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石破自民「貧乏人には2万円ほど配っとけ」の本音。何千万円もの裏金を脱税し企業献金を死守する与党が参院選で大惨敗する日

昨年10月、首相就任からわずか8日で衆院を解散し総選挙に打って出た石破茂氏。その結果が「歴史的惨敗」となったのは記憶に新しいところですが、7月20日に投開票が行われる参院選では自民党にさらなる「厳しい審判」が下ることになるようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、昨年の衆院選で自民党が前回より500万票以上も得票数を減少させてしまった原因を考察。その上で、「原因」を取り除かぬまま参院選を戦う同党が見舞われる事態を予測しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:自民党が裁かれる日

頂点に達した国民の怒り。ついに訪れる自民党が裁かれる日

今から37年前の1988年6月18日、まだあたしがアイドルみたいに可愛らしい女子高生だった時代に、現在の自民党を象徴するかのような戦後最大の汚職事件「リクルート事件」が発覚しました。

リクルート社の江副浩正会長が、未上場の不動産会社「リクルートコスモス」の未公開株を、当時の与党自民党の政治家を中心に賄賂として大量に譲渡したという事件です。

この未公開株を受け取っていた当時の自民党の政治家は、中曽根康弘前首相、竹下登首相、宮澤喜一副総理・大蔵相、橋本龍太郎元運輸相、梶山静六元自治相、森喜朗元文相、塩川正十郎元文相、加藤六月元農水相、山口敏夫元労相、小渕恵三官房長官、小沢一郎官房副長官、藤波孝生元官房長官、加藤紘一元防衛庁長官、安倍晋太郎幹事長、渡辺美智雄政調会長、原健三郎前衆院議長、藤田正明参院議長、伊吹文明代議士、鈴木宗男代議士を始め、計90人近くとなりました。

三塚博、塩川正十郎、加藤六月と並んで安倍派四天王の1人だった森喜朗は、安倍晋太郎に江副浩正を紹介した上で、自分はひと足早く株を売却して約1億円の利益を得ていたので、完全に贈賄側と収賄側が手を組んだ計画的な収賄事件だったことが分かります。

しかし、大蔵相だった宮澤喜一が「秘書が勝手に私の名前を利用した」などと言い出したのを皮切りに、どいつもこいつも「秘書が勝手に」「秘書が勝手に」と言い出したのです。

その結果、中曽根派のプリンスと呼ばれた藤波孝生と公明党の池田克也の2人が執行猶予付きの有罪判決を受けただけで、数千万円から億単位の賄賂を受け取っていた自民党の大物たちは誰1人として罪に問われなかったのです。

そして、自民党の伝家の宝刀「秘書が勝手に」の後始末として、安倍晋太郎の私設秘書、宮澤喜一の公設秘書、加藤六月の公設秘書が略式起訴されただけで終わったのです。

しかし、国民の怒りはMAXになり、この年の夏に行なわれた第15回参議院選挙で自民党は大敗します。この結果を受けて「企業献金は見返りを求めない賄賂性のない献金」という建前に立ち返るため、企業・団体から政党への献金を制限する政治改革が進み、その代わりに国庫から政党交付金が支払われるという政党助成法が導入されたのです。

しかし「企業・団体から政党への献金」に関しては「将来的に禁止する方針」という自民党名物「ザ・先送り」で、実際には「政治家個人への献金」しか禁止されませんでした。

でも、自民党の現状を見れば分かるように、すべての議員が活動実態のない看板だけの政党支部を作り、そこを窓口として政治家個人には禁止されている企業・団体献金を受け取り、それを自身の政治資金管理団体に迂回させてからポケットに入れているのです。

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またしても出た自民党の伝家の宝刀「秘書が勝手に」

日本では民間での賭博行為が禁止されているので、全国のパチンコ・パチスロ店では、店内のカウンターで出玉やメダルをいったん景品に交換し、その景品を店外の別の窓口で現金に交換させるというワンクッション噛ませたイカサマで法律違反を回避していますが、政党支部を使った迂回献金はコレとまったく同じイカサマなのです。

つまりは、政党や政治家への献金は何ひとつ規制されていないのに、さらに税金から政党交付金までプレゼントされることになったのです。

これが「リクルート事件」を受けて1994年に成立した「政治改革四法」という政党助成法なのですが、この政党交付金と並ぶもうひとつの大きな柱が、自民党の中から湧き起こった「小選挙区比例代表並立制」でした。この制度が導入されたことで、甘利明のように選挙区で落選した候補者が比例でゾンビ復活できるようになったのです。

結局、自民党は、1988年の「リクルート事件」を始め、1992年の「東京佐川急便事件」や1993年の「ゼネコン汚職事件」など、数々の巨額政治献金事件の舞台になったのにも関わらず、規制の名のもとにザル法で企業献金のタガを緩めただけでなく、国民の税金が原資である国庫からも政党交付金が受けられるようにしたのです。

そして、それから30年近い歳月が流れた2022年11月、自民党の安倍派を中心とした政治資金パーティーの裏金問題を「しんぶん赤旗」がスクープし、2023年になってテレビや一般紙が後追いしたことで、岸田内閣の閣僚が次々と辞任に追い込まれたのです。

自民党は政治家個人には禁止された企業・団体献金を迂回させてポケットに入れ、国民の税金からも政党交付金を吸い上げまくっているのに、さらに90人近い国会議員が政治資金パーティーで裏金を作り、脱税して私腹を肥やしていたのです。

奇しくも37年前の「リクルート事件」で賄賂を受け取っていた自民党議員の数と同じです。つまり、どちらも「政党ぐるみ」の組織犯罪だということです。

これには、アベノミクスの失敗によって経済的被害を受け続けて来た庶民の怒りが爆発しました。それなのに、ここでも出たのです。自民党の伝家の宝刀「秘書が勝手に」が!

結局、長年に渡って何千万円もの裏金をフトコロに入れ続けて来た自民党の守銭奴の面々は、その大半が何の罪にも問われずに、秘書だけが略式起訴されたのです!

そして、ここから先は記憶に新しいと思いますが、2024年9月、自民党総裁選で新総裁に選ばれた石破茂は、戦後最速のマッハのスピードで解散総選挙に突入したのです。総裁選の間、とにかくすぐにでも解散総選挙を行なうと主張していた小泉進次郎に対し、石破茂は「予算委員会で野党と議論を尽くし国民に判断材料を提供するのが新首相の責任だ」などと反論していたのに、いざ自分が首相になったとたん、一瞬で公約をひっくり返したのです。

ま、それはそれ、党内事情もあったのだと思いますが、あたしが何よりも呆れたのは、この解散総選挙に出馬する自民党の裏金議員どもを「原則公認する」と抜かした石破首相の言葉でした。

何年にも渡って、これほど大々的に繰り返されて来た政党ぐるみの裏金問題、脱税問題であり、その責任を取る形で岸田文雄は続投を諦めたのに、その解散総選挙で裏金議員どもを「原則公認」って、はぁ?

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炸裂した開いた口がふさがらなくなるような自民党体質

結局、石破首相は特に問題の大きかった6人だけを非公認にしましたが、全国からの激しい批判に折れる形で、あと6人を追加しました。しかし、この中には、すでに出馬しないと表明していた議員も含まれているという、あまりにもお粗末な「非公認」でした。そして、その他の数多くの裏金議員どもは「比例との重複は認めない」というユルユルの処分でお茶を濁したのです。

そして、この後、さらに開いた口がふさがらなくなるような自民党体質が炸裂したのです。石破首相が仕方なく「非公認」とした12人のうち、離党した1人と出馬しない1人を除いた10人の候補者が代表をつとめる政党支部に、選挙の公示直後、自民党から一律2,000万円の現金が振り込まれていたことが判明したのです!

自民党が公認した候補者の政党支部には、公認料500万円と活動費1,500万円の計2,000万円が選挙活動資金として振り込まれます。各候補はこの資金を使って選挙戦を戦います。しかし、不祥事によって「非公認」となった候補者には、本来は1円も振り込まれません。

それなのに、この時は10人全員に、公認された候補者と同じタイミングで、同じ金額の2,000万円が振り込まれたのです!

これって「ステルス非公認」じゃん!何だよ「ステルス非公認」かよ!SNS上には「ステルス非公認」という言葉が、文字通り飛び交いました!

細かいことを言うと、自民党の森山裕幹事長は、小泉純一郎首相の郵政民営化に反対したため、郵政解散時の総選挙で公認を得られず、さらには選挙区に刺客を送り込まれ、苦しみ抜いて議席を死守した過去があり、その時から小泉純一郎を憎み続けて来たのです。

そして「非公認」の苦しみを体感していた森山幹事長は、自分の一存で「非公認」の候補者10人にも選挙資金を振り込んだのです。

しかし、それが裏目に出てしまい、自民党は公示前の247議席から56議席も減らした191議席と大惨敗し、連立を組む公明党と合わせても過半数に届かない少数与党と成り果てたのです。

ちなみに、あたしが「バカだな~」と思ったのは、自民党に恩でも売ろうと考えたのか、自民党が「非公認」にした裏金議員を推薦した公明党の当時の石井啓一代表です。こんなアホなことをしたため自分が落選してしまい、山口那津男の退任でようやく代表になれたのに、1カ月しか持たなかったのです。チーン♪

そして、いよいよ始まった現在の参議院選挙ですが、自民党は性懲りもなく裏金議員15人を全員公認したのです。

この中には、裏金の上に沖縄差別を繰り返す西田昌司や、裏金の上に数々の差別発言を繰り返す杉田水脈などが含まれていますが、その杉田水脈や裏金が2,000万円を超える極めて悪質な橋本聖子ら計5人は「比例単独」なのです。

百歩ゆずって選挙区に出馬して有権者に信を問うならともかく、岩盤支持者による自民党への組織票でシレッと当選しようだなんて、どんだけツラの皮が分厚いのでしょうか?

しかし、世論を見ると、今回、西田昌司や杉田水脈や橋本聖子を始めとした裏金議員を全員公認したことで、自民党支持者でさえも「比例離れ」が起こっていて、昨年の衆院選以上の「比例票の減少」が予想されると言うのです。

1つの例として、衆議院選での自民党の比例の得票数を見てみると、安倍政権下の2014年に行なわれた衆議院選では「1,765万8,916票」、同じく安倍政権下の2017年に行なわれた衆議院選では「1,855万5,717票」と、それまで通りの横ばいでした。

しかし、安倍首相の突然の辞任から菅政権を経て、岸田文雄が自民党総裁となっての2021年の解散総選挙では、自民党の比例の得票数は「1,991万4,883票」と100万票以上もアップしたのです。

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企業献金を死守しようとする拝金主義の辿り着いた先

これは、長年の安倍政権、そして安倍政権と何も変わらない菅政権にウンザリしていた有権者が、それまでとはカラーの違う岸田首相に期待した結果と見られています。しかし、結局はその岸田首相も自民党の一員であり、統一教会問題も裏金問題も後手後手で、国民の期待は萎んでしまいました。

そして、その後を引き継いだ石破首相が森山幹事長の言いなりになって解散総選挙に突入した結果、2024年の衆議院選での自民党の比例の得票数は「1,458万2,690票」、なんと前回より500万票以上も減少してしまったのです!

この「失った500万票」によって、自民党は56議席も減らした上に、公明党と合わせても過半数に届かないという歴史的惨敗となったのです。

ハッキリ言ってこれは、数多くの裏金議員を公認したことが原因です。多くの国民が最も怒っているのが裏金問題なのに、その裏金議員の大半を公認した上に、「非公認」にした裏金議員にも選挙資金2,000万円を配っていたのですから、これは当然の結果でしょう。

ちなみに、野党第1党の立憲民主党の過去3回の衆議院選での比例の得票数を見てみると、2017年が「1,108万4,890票」、2021年が「1,149万2,111票」、そして、昨年2024年が「1,156万4,217票」と、ほぼ横ばいなのです。

つまり、立憲民主党は昨年の衆議院選で大幅に議席を増やしましたが、それは支持者が急増したからではないのです。自民党の比例票が500万票以上も減少したため、立憲民主党の比例での得票割合が大きくアップし、その結果、棚からボタモチ的に議席が増えただけなのです。

こうした衆議院選の結果から推測すれば、昨年の解散総選挙時よりも自民党に対する有権者の怒り、ここまで来ても裏金議員どもを優遇する自民党への怒りが大きくなっている今、今回の参議院選では昨年の衆議院選以上の「比例票の減少」が予想されます。

また、公明党に対しても、支持母体である創価学会員の何割かが比例で反旗を翻す傾向が見られるため、このまま行くと「非改選と合わせて与党で過半数」という激甘な勝敗ラインすら危うくなって来ました。

しかし、これは、自民党が長年に渡ってスポンサー企業と癒着して政治を私物化して来た結果であり、この期に及んでも企業献金を死守しようとする拝金主義の辿り着いた先なのです。

利権のために一次産業を破壊し、主食のコメが高くて買えない国にした責任まで、秘書になすりつけることはできません。すべては自業自得なのです。自分たちは何千万円もの裏金を脱税しまくって来たのに、貧乏人どもには1人2万円ほど配っておけばいいだろう…という、この国民をバカにしまくった態度が、今、裁かれるのです。

(『きっこのメルマガ』2025年7月9日号より一部抜粋・文中敬称略)

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