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デマも差別も何でもアリ。参政党の神谷代表が証明した「なりふり構わぬトランプ方式」が選挙に強いという残念な事実

参院選で大旋風を巻き起こし、海外メディアでもその躍進ぶりが伝えられた参政党。同党への支持は、なぜここまでの広がりを見せたのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、参政党支持者たちの特徴と同党の勝因を分析。さらに「改選議席の維持」という負けに等しい結果となった立憲民主党再生の道を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:自公と立民が敗北した参院選

高笑いの「カルト教祖」。参政党躍進の影で自公も立民も敗北した参院選

7月20日(日)投開票の第27回参議院議員選挙は、248議席の半分の124の改選議席と、非改選の東京選挙区の欠員補充1議席を合わせた125議席の争奪戦となりました。今回は選挙戦序盤から参政党と国民民主党の躍進が報じられ、多くの選挙区が接戦となり、全議席の確定は翌朝までもつれ込みました。

しかし、今回の参院選の注目点の1つである、石破茂自民党総裁が掲げた「非改選を含めて自公で過半数」というアンコに砂糖とメープルシロップをぶっ掛けたほど激甘な「勝敗ライン」に関しては、早朝4時過ぎにNHKが速報で「自公の過半数割れが決定」と報じたので、あたしは現役時代の巨人の桑田真澄投手のように小さくガッツポーズを決めました。

正確な結果としては、自民党が13議席減らした39議席、公明党が6議席減らした8議席、非改選と合わせても自公で122議席、過半数を割り込みました。

これまでの自民党政権が、国会での審議も経ずに閣議決定だけで憲法解釈を180度も捻じ曲げ、自衛隊を他国の戦地に派遣できるようにしたり、閣議決定だけで自衛隊の中に米軍の司令部を新設し、アメリカの命令で複数年の防衛予算を43兆円まで引き上げたりして来た悪しき「安倍政治」を終わらせるためには、これまでの「衆参両院での自公の過半数」という絶対権力を終わらせるしかありませんでした。

そして、昨年の衆院選では、石破茂総裁が森山裕幹事長の指示で裏金議員をことごとく公認しただけでなく、極めて悪質で非公認とした議員にまで選挙資金2,000万円をバラ撒いていた事実が発覚し、自民党だけでなく公明党も大惨敗し、自公は過半数割れに追い込まれました。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…というわけで、カナブンほどの学習能力も持ち合わせていない森山幹事長は、今回の参院選でも改選組の15人の裏金議員を全員公認したのです。

その結果、衆参両院での過半数割れという理想的な形となったのですが、残念なことに、これは野党第1党である立憲民主党が追い込んだ結果ではなく、自公が勝手にオウンゴールで自滅しただけなのです。

昨年の衆院選では、自民党が56議席も減らして惨敗した一方、立憲民主党は50議席も増やして大勝利しました。この議席数だけを見れば、自民党の票が立民に流れたように感じます。しかし、それは大間違いなのです。

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神谷代表や石丸代表を信じてしまう人たちが持つ「純粋な心」

これは『きっこのメルマガ』第318号の「自民党が裁かれる日」でも指摘しましたが、昨年の衆院選での政党別の比例得票数を見ると、自民党は前回の1,991万票から昨年の1,458万票へと550万票近くも減らしていますが、立民は前回の1,149万票も昨年の1,156万票もほとんど変わっていません。

つまり、自民党支持から離れた550万人近い有権者は、比例の投票先を立民に変えたのではなく、より政策が自民党に近い国民民主党など他の野党に分散したわけで、立民は自民党を離れた有権者の受け皿にはなれなかったのです。

【関連】石破自民「貧乏人には2万円ほど配っとけ」の本音。何千万円もの裏金を脱税し企業献金を死守する与党が参院選で大惨敗する日

それなら、どうして立民は50議席も増やせたのかというと、選挙区での勝利もありますが、何よりも大きいのは自民党が550万票近くも比例票を減らしたことで、立民の比例での議席分配率が上がったからです。だから、あたしは「自民党が裁かれる日」の中で、昨年の衆院選における立民の勝利を「棚からボタモチ的に議席が増えただけ」と指摘したのです。

で、今回の参院選でも、自民党は比例票を前回の1,826万票から1,281万票へと545万票も減らしました。しかし、立民は前回の677万票から739万票へと62万票しか増やしていません。一方、国民民主党は前回の316万票から762万票へと2倍、参政党は前回の177万票から742万票へと4倍に増やしているのです。これを見れば、自民党にアイソをつかした545万人の有権者の大半が、国民民主党と参政党に流れたことが明白です。

その結果、立民が改選前と変わらない22議席だったのに対して、国民民主党は13議席も増やした17議席、参政党も13議席も増やした14議席と、それぞれ大躍進したのです。

実際の比例の得票数でも、自民党に次いで2位だった立民は、今回、国民民主党にも参政党にも抜かれ、一気に4位へと下落しました。それも、投票率は前回より約6ポイントも上昇したのに、です。

投票率1%は100万人ですから、今回は前回より600万人も多くの人が投票したのです。それなのに、野党第1党が1議席も増やせなかっただなんて、完全に選対の作戦ミスであり、今回の選挙結果は完全に敗北なのです。

もしも立民の野田佳彦代表が本気で政権交代を目指しているリーダーだったとしたら、今回の「現状維持」という選挙結果を「敗北」として、潔く身を引くのが普通だと思います。ま、野田代表が内閣不信任案を出すフリばかり続ける「なんちゃって政権交代おじさん」だったとすれば、このまま敗北を認めず代表の座に居座り続けるでしょうが。

…そんなわけで、今回の参院選で、あたしが「自公の過半数割れ」の次に注目していたのが、参政党の神谷宗幣代表と再生の道の石丸伸二代表でした。あたしから見ると、どちらも同じくらいウサン臭い人物ですが、どちらも一定数の人たちから支持されていることも事実です。あたしにはそれが信じられないのですが、これまでSNS上での双方の支持者の発言などを観察して来た結果、分かったことがあります。

神谷代表や石丸代表を支持している人たち、神谷代表や石丸代表の言葉を信じてしまう人たちは、「疑う」ということを知らず、相手の言葉をそのまま信じてしまうピュアな人たち、生まれたばかりの赤ちゃんのように純粋な心を持った人たちなのです。

しかし、それは2つのタイプに分かれます。神谷代表を支持しているのは、統一教会などのカルト宗教に騙されやすいタイプの人たち。石丸代表を支持しているのは、振り込め詐欺や投資詐欺などに騙されやすいタイプの人たち。これがあたしの観察結果です。

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まるで別人になったかのような石丸伸二代表の振る舞い

双方のタイプの有権者がどれくらいいるのか、あたしはそこに注目して今回の選挙戦を見ていました。そして、その結果は、とても興味深いものとなりました。

当初、あたしは、カルト宗教に騙される人たちよりも、振り込め詐欺や投資詐欺に騙される人たちのほうが遥かに多いと思っていました。しかし、結果は正反対で、参政党が大躍進した一方で、再生の道は全員落選と大惨敗したのです。

結局は、神谷代表の手法、つまり、事実に基づかないデマでも差別発言でも何でもあり、なりふり構わないドナルド・トランプ方式が強いということが証明された選挙戦でもありました。

カルト宗教タイプの政党の支持者は、洗脳された信者と同じですから、いくら周囲が代表の発言の間違いや問題点を指摘しても、聞く耳など持ちません。そして、まるで伝染病のように感染が広がって行くのです。

…そんなわけで、投開票日の夜のこと、わが家にはテレビがないので、あたしは文化放送の長野智子さんの開票特番と、TBSラジオの荻上チキさんの開票特番を行ったり来たりして聴いていました。

どちらの番組でも、各党の代表と電話をつないでやりとりをしていたので、聴き逃した部分は後からラジコのタイムフリーで聴き、両方の番組をすべて聴きました。

その中で特に印象的だったのが、まるで別人になったかのような、再生の道の石丸伸二代表の振る舞いでした。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、図星を突かれた質問には答えられず、テーマをずらしてごまかす。参政党の神谷代表は、いつもの「ああ言えばこう言う」スタイルの屁理屈を連発して自分を正当化し続ける。どの政党の代表も毎度のパターンでしたが、石丸代表だけは、いつもの上から目線のケンカ腰ではなく、意外にも借りて来た猫のように大人しかったのです。

TBSラジオの荻上チキさんの開票特番『参院選2025<物価高・少子化・分極化>~この選択は何を変えるのか?少数与党に下される審判は』では、23時40分辺りから石丸代表とのやりとりが始まりますので、興味のある人はラジコのタイムフリーで聴いてみてほしいのですが、荻上チキさんから感想を聞かれたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんは、次のように述べました。

安田菜津紀さん 「私は前回の東京都知事選の時の選挙特番をアーカイブで聴かせてもらったんですけど、今回の石丸さん、えらい態度の違いだなと思いました」

荻上チキさん 「変わってましたね」

安田さん 「はい、前回の時はチキさんの質問に対して不合理に質問で返したり、武田砂鉄さんに対しては『本当に(私の)本を読んだのか!』と疑って掛かったり、もう非常にパワハラ的なコミュニケーションだなと思ったんですけど、今回は『はい!』『はい!』というように返していました。自分の情勢が良くなると非常に高圧的になり、そうではなくなると態度を変える。これって政治に関わる人間として、果たして信用できるのだろうか?そう思いながら聞いていました」

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立民がマイナスイメージを一新するため新代表に据えるべき人物

また、東京大学法学部卒のお笑い芸人、XXCLUB(チョメチョメクラブ)の大島育宙(おおしま やすおき)さんも、次のように述べていました。

大島育宙さん 「石丸さんはいろんな意味で注目してるんですけど、調子が良い時にすごくアドレナリン的なしゃべり方をして、今回に関しては牙を抜かれたようになってしまうっていうのが、まさに見ていて非常に心配になりますし、逆に強くなった時にまた支持を集めるとしたら、それは果たして何に対する支持なんだろうと思ってしまいました。教育から政策を作ると言うのは決して悪くないと思うんですけど、その根幹に思想というか日本をこうしたいというグランドデザインが見えて来ない、そこが相変わらずだなと思いました」

…そんなわけで、あたしとしては、自公が過半数割れしたこと、都議時代からずっと支持して来た立民の塩村あやかさんが東京選挙区で再選を果たしたこと、自公が弱体化した今こそ国会に必要だと思っていた蓮舫さんが立民の比例で当選して帰って来てくれたこと、そして、社民党が比例での得票率2%の政党要件を維持したことなど、個人レベルでは「ほぼ満点」の結果となった今回の参院選でした。

後は、野党第1党の立憲民主党が、自公政権にアイソをつかした多くの有権者の受け皿となるべく、敗北した「なんちゃって政権交代おじさん」こと野田佳彦代表には1日も早くフェードアウトしていただき、野田代表によって染みついてしまった「優柔不断で本気度が感じられない」という党のマイナスイメージを一新するため、蓮舫さんを新代表に据えた新生の立憲民主党を船出させてほしいと願うばかりです。

(『きっこのメルマガ』2025年7月23日号より一部抜粋・文中敬称略)

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