中小企業を救え。ホンマでっか池田教授が提案する「国力回復」のための税制改革論

 

消費税は法律上、年金、医療、介護、少子化対策という社会保障に充てられることになっているが、一般会計に組み入れられるため、実際に何に使われているかは追跡不能で、法人税の減税に使われているのではないかと疑われている。実際、消費税の増税に反比例して、法人税は下がっている。

法人税は1987年の43.3%から99年の30%まで段階的に引き下げられ、2012年に25.5%、2015年から18年にかけても段階的に引き下げられて、現行の23.2%になっている。法人税を下げて企業の利益が増えても、その大半は内部留保(企業の利益を現金、金融資産、不動産などにして保持しておくこと)になっていて、市場に流れないので、内部留保がいくらあっても景気は良くならない。ちなみに2023年度末の内部留保金は600兆9857億円で過去最高である。

確かにある程度の内部留保金を持たないと、状況が変わって、大赤字になった時に資金のやりくりが付かずに、倒産する危険があるため、内部留保はセキュリティ装置ではあるが、さすがに600兆円超えは、やりすぎだろう。内部留保の相当部分を従業員の給料に回せば、購買力が上がり、景気にとってはプラスになる。個々の企業の経営陣にとっては、従業員の給料を増やすよりも、内部留保を増やす方が、合理的な判断なのだろうが、多くの企業がそうすれば、景気は落ち込み、マクロに見れば日本経済にとってマイナスになる。合成の誤謬である。

消費税は一部の輸出企業には有利な税制である。国内からの部品等の調達には消費税を払い、輸出先からは消費税を取れないので、支払った額が受け取った額よりもはるかに大きくなり、この差額が還付金として戻ってくる。2022年のトヨタの還付金は5276億円で日本一、2位は日産の1897億円、3位は本田の1879億円である。これらの企業に納品する日本の中小企業は多くはダンピングせざるを得ないだろうから、儲けは少ないと思われる。

日本の企業数の99.7%は中小企業で、日本の経済を支える主役であり、雇用全体の7割を担っているが、その6割は赤字だと言われている。中小企業を圧迫しているのは消費税である。消費税は使わないで納期まで積み立てておけばいいというのは正論には違いないが、資金繰りが苦しければ、消費税を使い込んで、結局払えずに倒産というケースが少なくない。消費税を撤廃すれば、税金が払えずに倒産という悪夢からは免れる。

消費税を撤廃する(あるいは減税する)と税収が足りなくなって国が破産するという議論がある。あとで説明するように、税はーーー(『池田清彦のやせ我慢日記』2025年8月8日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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