安倍晋三政権から続く大問題。北朝鮮による拉致問題の「家族会」や「救う会」が石破政権にも懐疑的な理由

 

参議院選挙の最中に『産経新聞』(7月19日付け)が各政党に興味深いアンケートをとった。

  1. 政府の取り組みへの評価
  2. 連絡事務所設置案への賛否
  3. 「部分帰国」を容認するか

の3点だ。連絡事務所について賛成は、共産党、れいわ新選組、社民党、みんなでつくる党、再生の道の5党派。反対は立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党、NHK党の6党派。

9党派が「全被害者の即時一括帰国」を堅持すべきと回答、3党が「部分帰国」を認めるとし、共産党は「回答しない」だった。

「全被害者の即時一括帰国」はスローガンとしては正しい。しかし北朝鮮側が一貫して「5人生存、8人死亡」を変えない状況のもとで、スローガンだけを掲げていても具体的な外交交渉は進まない。

すでに10年前に政府認定拉致被害者の田中実さん、特定失踪者の金田龍光さん生存を伝達してきたのだから、安倍晋三政権以来この提示を無視し続けてきたことに問題があると言わざるをえない。「回答しない」とした共産党の対応も不可解だ。

いちばんの問題は連絡事務所への理解である。各党は拉致問題を解決するために設置すると理解しているが、それは一知半解である。そもそもアメリカも歴代政権が模索してきた相互の連絡事務所の設置とは、国交がない現実を起点にして、正常化交渉を担うために、情報入手や意見交換を進めるためのものだ。

日朝も2002年9月17日の平壌宣言で「双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのため2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした」と謳っている。

ここで期日まで明記されていた正常化交渉は拉致問題によって再開されないままである。いずれ日朝交渉が進むなら、正常化交渉を実質的に進めるために連絡事務所の設置は有効なのであって、拉致問題解決の方法においては部分的な役割なのである。

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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